フランスの裁判所、EUの暗号資産税データ共有規則(DAC8)の停止申し立てを却下

フランスの裁判所がEUのDAC8停止申し立てを却下

フランスの最高行政裁判所である国務院(Conseil d’État)は、暗号資産関連企業であるBull Bitcoin(ブル・ビットコイン)社およびPaymium(ペイミアム)社による、EU(欧州連合)の暗号資産税務情報共有に関する指令DAC8(第8次行政協力指令)の施行停止を求める緊急申し立てを却下した。

日本語訳:
BULLBITCOIN.COMがDAC8および暗号資産ユーザーの大規模監視に対抗するために起こした2つの訴訟のうちの1つに関する重要な情報です。皆様ご存知のとおり、BULLBITCOIN.COMは2026年2月にフランスにおけるDAC8の適用に異議を唱えるため、国務院に対して訴訟を起こしました。この…

両社は、暗号資産ユーザーの機密情報や取引記録を中央集権的なデータベースに集約・管理することが、ハッキングやデータ漏えいといった差し迫ったセキュリティリスクを生じさせると主張。情報が流出した場合、保有者やその家族が強盗、誘拐、恐喝といった暴力犯罪の標的になる恐れがあると指摘している。しかし裁判所は、発生確率が極めて低いリスクの可能性があるというだけでは、緊急停止措置を正当化するための要件を満たしていないと判断した。

なお、今回の却下はあくまで緊急性に関する判断であり、DAC8規制の適法性や有効性を問う本案訴訟自体は現在も継続中だ。

フランスにおける暗号資産関連の治安リスク

こうしたセキュリティ上の懸念の背景には、フランス国内で暗号資産保有者を狙った物理的な襲撃事件が急増している現実がある。

内務省の発表によると、2026年は7月初旬の時点で誘拐や恐喝などの関連事件が77件記録され、前年同期の45件から増加。また、ブロックチェーン・セキュリティ企業などのデータでも、世界で発生した物理的襲撃事件のうち多くの割合がフランスに集中していることが報告されており、投資家情報を含む税務記録の集約化とリスクとの関連性が議論されている。

DAC8規制の概要と今後の影響

2026年1月1日に適用が開始されたDAC8により、EU全域で暗号資産の税務報告規則が導入された。

報告義務を負うCASP(暗号資産サービスプロバイダー)は、EU居住者であるユーザーの氏名、住所、納税者番号、取引履歴などの情報を収集する必要がある。初回データの報告および加盟国間での自動交換は2027年に予定されている。

今回の緊急申し立ては却下されたものの、Bull Bitcoin社などの企業は、基本的人権やプライバシー保護に関する実体的な主張を掲げ、法的な異議申し立てを継続する方針を示している。