ロビンフッドのエンジニアが仮想通貨詐欺で起訴される
米国司法省および連邦検察当局は、暗号資産の新規上場に関する非公開の機密情報を不正に利用し、分散型取引所Hyperliquid(ハイパーリキッド)の無期限先物市場で不正な取引を行ったとして、ロビンフッド(Robinhood)のエンジニア2名を起訴したと発表した。
対象となったのは、ヘフ・チャイ(Hefu Chai)容疑者(36歳)と、シアン・フアイソン(Huaisong Xiang)容疑者(30歳、※別名:ジェリー・シャン)の両名だ。
機密データの不正利用と無期限先物取引
起訴内容によると、両被告は不正行為が行われた当時、ロビンフッド・マーケットのエンジニアとして勤務し。その職務上、傘下のロビンフッド・クリプトにおいて今後上場予定の仮想通貨の銘柄や、その発表時期に関する機密情報にアクセスできる立場にあったとされている。
2025年から2026年にかけて、両エンジニアはその非公開情報を利用し、Hyperliquid上で対象トークンに連動する無期限先物のポジションを構築。Hyperliquidは、トレーダーが原資産を実際に購入・保有することなく、価格変動に対してロングやショートのポジションを取ることができる分散型デリバティブ取引所だ。通常の先物契約とは異なり、無期限先物には固定の満期日が存在しない。この仕組みを利用することで、両被告は公式な上場発表が行われる前にポジションを仕込み、発表後の価格急騰を利用してそれぞれ5万ドル(約776万円)以上の利益を不正に得たとされている。
連邦当局による罪状と法的見解
検察側は、両名に対して商品(コモディティ)詐欺および通信(電信)詐欺の罪を適用しており、連邦法における法定刑としては、商品詐欺が最大で懲役10年、通信詐欺が最大で懲役20年の禁錮刑が科される可能性がある。
今回の事件に関してジェイミー・マクドナルド(Jamie McDonald)連邦検事は、取引に用いられたプラットフォームがDEX(分散型取引所)であることや、デリバティブ商品を利用したという事実によって、米国の証券法や商品取引法の適用が免除されるわけではないと強調し、次のように述べている。
個人の利益のために機密情報を不正に流用し、デリバティブ市場で取引を行うことは明白な違法行為である。
また、FBI(米国連邦捜査局)のジェームズ・C・バーナクル・ジュニア(James C. Barnacle, Jr.)副長官も捜査への参画に触れ、企業の機密情報を悪用する従業員に対しては、関係機関と連携して断固たる措置を講じる姿勢を示した。
今後の司法手続きと市場への影響
今回の件における刑事訴状の公開に伴い、チャイ容疑者はカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所、シアン容疑者はニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所(マンハッタン)の法廷に出廷する予定となっている。
なお、今回の訴追は、ロビンフッドが独自のレイヤー2ネットワークの展開やトークン化株式の取り扱いなど、オンチェーン金融への進出を積極化させているタイミングで浮上した。
ただし、検察側は、ロビンフッドの一般顧客が資金を失った事実や、同社自身がトークン価格を意図的に操作したといった主張は行っておらず、あくまで個人の従業員による内部情報の悪用事案として位置づけている。また、刑事訴状に記載された一連の容疑はあくまで申し立てであり、現時点では有罪が確定したわけではない。
今後は法廷において、検察側が合理的な疑いの余地なく容疑を立証できるかどうかが焦点となる。
























