FCA英国金融行動監視機構が未登録P2P暗号資産取引の取り締まりを強化へ
FCA(英国金融行動監視機構)は、HMRC(歳入関税庁)およびロンドン警視庁と緊密に連携し、ロンドン市内における違法なP2P(ピア・ツー・ピア)暗号資産取引に対する取り締まりを強化している。
We targeted 3 premises suspected of illegal peer-to-peer crypto trading by individuals operating by way of business in the UK, in a joint operation with @HMRCgovuk and @metpoliceuk.
These unregistered traders can provide a route for criminals to move and launder illicit funds, while avoiding controls designed to prevent financial crime.
Anyone running an unregistered peer-to-peer crypto business in the UK should assume we’re looking at them.
https://t.co/LXkYatcSjn
#FightingFinancialCrime #Crypto #FinancialRegulation
— Financial Conduct Authority (@TheFCA) September 17, 2026
英国で事業として活動する個人による違法なピアツーピア暗号資産取引が疑われる3つの施設を、英国歳入税関庁およびロンドン警視庁との共同作戦で…
2026年9月10日に実施された一斉捜査では、未登録の暗号資産交換業を運営している疑いのある3つの拠点が対象となり、同月17日にその旨が発表された。今回の措置は、今年4月にロンドン市内の8拠点を摘発した件に続く、今年2度目の大規模な取り締まりとなる。
背景と規制の要件
英国の現行のAML(マネーロンダリング:資金洗浄防止)規制において、個人間であればFCAへの登録なしに直接暗号資産を売買することは可能だ。
しかし、暗号資産交換サービスを“事業”として運営する者に対しては、マネーロンダリング規制に基づく登録が厳格に義務付けられている。FCAは、P2P事業者もこの規制の対象となる暗号資産交換業の一形態であると明確に位置づけている。
FCAが事業運営にあたると判断する要件には、サービスの宣伝、利益の獲得、他の事業の一環としてのサービス提供、および継続的・定期的であるかどうかが含まれる。また、英国にオフィスや本社を構えていることも国内での事業運営を示す兆候となる。しかし、現在英国においてP2P暗号資産事業として正式にFCAへ登録されている事業者は存在しないため、国内の同種事業は実質的にすべて未登録の状態にある。
犯罪抑止と監視網の課題
FCAが未登録のP2P事業を強く問題視する背景には、マネーロンダリング対策の監視網が及ばないことへの深刻な懸念がある。登録外の業者は、犯罪者が不正資金を移動させたり資金洗浄を行ったりするための温床になり得ると指摘されている。
FCAの執行・市場監視担当エグゼクティブ・ディレクターであるスティーブ・スマート(Steve Smart)氏は、パートナー機関と協力して違法活動の追跡と阻止を続けていく姿勢を示し、「未登録のP2P暗号資産事業を運営している者は、われわれが監視の目を向けていると認識すべきだ」と強く警告した。
また、ロンドン警視庁のサティッシュ・アララスンダラム(Sathish Alalasundaram)警部補も、暗号資産特有の高速な資金移動や管轄区域を越えた取引が捜査上の課題であることを認めつつ、犯罪者の手口の変化に応じて警察側の戦術も適応させていると強調している。
なお、4月の取り締まりで収集された証拠は、現在進行中の刑事捜査や今後の法執行措置の裏付けとして活用されている。FCAはこれまでに、違法な暗号資産ATMネットワークを運営していたオルミデ・オスンコヤ(Olumide Osunkoya)氏に対して懲役4年の実刑判決を勝ち取るなど、暗号資産関連の有罪判決や容疑者の逮捕支援といった確実な訴追実績も積み上げている。
利用者への影響と今後の展望
現在、マネーロンダリング規制や勧誘・広告といった金融プロモーションに関する規則を除き、英国における暗号資産は概ね包括的な規制の対象外とされている。そのため、今回の摘発も暗号資産特有の法律ではなく「2017年マネーロンダリング、テロ資金供与および資金移動規則」に基づいて実施された。
こうした状況は、2027年10月25日に暗号資産に関する包括的な規制制度が施行されることで大きく変わる予定であり、FCAは2026年9月30日に企業向けの認可申請受付を開始し、業務内容に関するガイダンスを公表する方針を示している。
未登録の事業者はFCAの監督対象外であるため、利用者は認可を受けた企業に期待されるような規制上の保護や基準の恩恵を受けることができない。そのため、FCAは、利用者がP2Pサービスを利用する前に公式の「Firm Checker(事業者確認ツール)」を通じて企業の登録状況を確認し、登録が義務付けられている場合には正規の業者とのみ取引を行うよう強く推奨している。























