The Sandbox 大規模人員削減と戦略転換でミームコイン市場へ挑戦

The Sandboxがメタバースからミームコインローンチパッドへ転換する様子を象徴的に描いたイラス

メタバースの旗手が構造改革を断行

サンドボックス(The Sandbox)が大規模な再編に踏み切り、従業員約250人のうち半数以上を削減した。

メタバースの先駆者として知られた同社は、関心低下とエンゲージメント不足を背景に、事業の軸をミームコインのローンチパッドへ移す。創業期の評価や期待がしぼむ中で、生き残りに向けた現実的な路線変更である。

共同創業者のアーサー・マドリッド(Arthur Madrid)氏は会長に就き、セバスチャン・ボルジェ(Sebastien Borget)氏はグローバルアンバサダーとして対外活動を担う。経営の舵取りはAnimoca Brands(アニモカ ブランズ)のロビー・ヤング(Robbie Young)氏がCEO(最高経営責任者)として引き継ぐ。創業者は日常業務から距離を置きつつ、エコシステムには継続関与する。

再編の柱は開発と運用の効率化である。AI(人工知能)を取り入れ、コンテンツ制作やLiveOpsの展開を加速し、少数精鋭の体制に改める。小規模拠点の整理も進め、事業運営の身軽さを優先する。

指標悪化と拠点再編

NFT(非代替性トークン)ブーム期に同社はソフトバンクのVision Fund 2から9,300万ドル(約136.5億円)を調達し、主力銘柄として脚光を浴びた。

だが現在、日次アクティブユーザーは数百人規模にとどまり、定着に苦戦してきた投資の大きさと成果の乖離(かいり)が目立つ。アルゼンチンやウルグアイ、韓国、タイ、トルコなどの拠点は閉鎖対象となり、組織はグローバルにスリム化される。

SANDの価格動向

ネイティブトークンSANDは最高値8.40ドルから約97%下落し、現在は0.28ドル前後で推移する。2024年後半以降だけでも約70%下落し、時価総額は6億8,700万ドル(約1,008.7億円)まで縮小した。資産構成そのもの(SAND、LAND、NFT群)は維持されるが、市場の弱さは重い。

ミームコインローンチパッドへの転換

新戦略の中核は、コインベース(Coinbase)のレイヤー2(L2)であるBase上に構築するミームコインのローンチパッドである。

ユーザーがトークンを作成し配布できる仕組みで、Solana発のPump.fun(パンプファン)に着想を得る。Pump.funは累計収益が8億ドル(約1,174.6億円)超、日次手数料が100万ドル(約1.5億円ん)超という実績を示し、収益モデルの明確さで注目されている。

この動きを報じたジャーナリストのグレゴリー・レイモンド(Grégory Raymond)氏は、Sandboxの人員削減と戦略転換についてXで次のように投稿している。

メタバースプラットフォームのThe Sandboxは、従業員の50%以上を解雇し、創業者は経営から退いた。さらに、Base上でPump.funをモデルにしたミームコインのローンチパッドが近く発表される見込みだ。

今回の転換は、メタバース市場の退潮と現実解の模索を象徴する。Decentraland(ディセントラランド)など他の主要プロジェクトも最高値から九割超の下落を経験し、分野全体が難所にある。The Sandboxが新領域で収益性とユーザー獲得の両立を示せるかが、次の評価軸になる。AIで身軽になった組織とDAOの合意形成を梃子(てこ)に、ローンチパッドという明快な収益モデルへと舵を切った以上、成果の可視化が早期に問われる。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム