報告義務違反で3カ月停止、仮想通貨ATMへの規制姿勢鮮明に
オーストラリアの金融犯罪規制当局が、Cryptolink(クリプトリンク)の登録を3カ月間停止し、同社が運営する96台の仮想通貨ATMを停止させた。
基本的な取引報告義務の不履行などが理由で、急拡大した国内の仮想通貨ATM市場に対する監視強化が鮮明になっている。
Cryptolinkの報告義務違反を問題視
AUSTRAC(オーストラリア取引報告分析センター)は、Cryptolink Pty LtdのVASP(仮想資産サービスプロバイダー)登録を2026年8月9日から3カ月間停止する。これにより、同社がオーストラリア国内で運営する96台の仮想通貨ATMは、停止期間中利用できなくなる。
AUSTRACによると、Cryptolinkは基本的な報告義務、特に一定額を超える現金取引について提出する閾値取引報告を行わず、当局からの情報提供要請にも応じなかった。
AUSTRACのブレンダン・トーマス(Brendan Thomas)CEO(最高経営責任者)は、デジタル通貨を資金洗浄リスクとして継続的に注視する中、Cryptolinkが仮想通貨ATMを通じた高リスク取引を管理する能力について懸念が残っていると説明。同社について、現時点で事業継続を認めるにはリスクが高すぎると判断した。
Cryptolinkは2025年10月にもAUSTRACから処分を受けている。当時、暗号通貨タスクフォースがしきい値取引の報告遅延やAML/CTF(マネーロンダリング対策/テロ資金供与対策)のリスク評価における不備を指摘し、法的拘束力のある誓約が締結された。AUSTRACは同時に56,340豪ドル(約633万円)の違反通知を発行し、Cryptolinkはこれを支払っている。
急拡大した仮想通貨ATMへの監視強まる
今回の措置は、オーストラリア当局が仮想通貨ATMへの監視を強める中で実施された。AUSTRACは2024年末から仮想通貨ATM事業者との協議を進めており、重大なリスクや法令違反が確認された場合には今後も措置を講じる方針を示している。
オーストラリアの仮想通貨ATMは2019年の23台から急増し、2026年8月10日時点で1,745台が設置されている。アジア太平洋地域では最大規模で、国内のビットコインや仮想通貨ATMを通じて年間約2億7,500万豪ドル(約309億円)が流通しているとされる。
一方、現金と仮想通貨を直接交換できるATMは、詐欺や資金洗浄への利用が規制当局から問題視されている。AUSTRACの調査では、仮想通貨ATMを頻繁に利用する90人のサンプルのうち85%が、詐欺被害者またはマネーミュール(※1)だったとされている。
犯罪組織が不正に得た資金を移動させるための資金の運び屋のこと
オーストラリアでは、内務大臣が仮想通貨ATMを含む高リスクの商品やサービスを規制または禁止できる権限をAUSTRACに与えることも提案している。今回のCryptolinkに対する停止措置は、急成長してきた仮想通貨ATM事業者に対し、報告義務やリスク管理を厳格に求める規制姿勢を改めて示した形だ。
























