パキスタン連邦捜査局が暗号通貨専門ユニットを設立
パキスタン政府がデジタル資産の導入と制度化を進める中、FIA(パキスタン連邦捜査局)は、暗号資産を悪用したマネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金供与を直接取り締まる専門の捜査ユニットを新たに立ち上げた。
新設された捜査ユニットは、FIAが新たに運用を開始したNC3(国家指揮統制センター)内部に置かれる。NC3は、従来のダークウェブ監視やサイバーパトロール、オープンソース・インテリジェンス(OSINT)、インターポールとの連携機能などを一元化した統合プラットフォームだ。
FIAテロ対策部門のムハンマド・アタール・ワヒード(Muhammad Athar Waheed)局長は現地メディアに対し、今回の法執行部隊と、規制を担当するPVARA(パキスタン仮想資産規制庁)の役割分担を明確に示した。さらに同局長は、サイバー犯罪や薬物密売における暗号資産の不正利用に対処するため、NCCIA(国家サイバー犯罪捜査局)やANF(麻薬取締局)に対しても同様の専門部隊を設けるよう呼びかけた。
世界最高水準の普及率と国家主導の活用戦略
パキスタンは「Chainalysis 2025年グローバル仮想通貨普及指数」で世界3位に位置しており、国内での取引が急速に広まっている。政府も長年続いた銀行による取扱禁止措置を解除し、取引所のライセンス付与や国営資産のトークン化といった成長戦略を打ち出してきた。
国際金融の分野においても、米・トランプファミリー関連のWeb3企業「ワールド・リバティ・フィナンシャル」側と連携し、米ドル連動型ステーブルコインを用いた国際送金の導入を模索するなど、先進的な取り組みを進めている。
イスラム法に基づく「ファトワ」という懸念材料
一方で、この急拡大する暗号資産市場には大きな課題も立ち塞がっている。カラチ(Karachi)の著名なイスラム神学校Jamia Darul Uloom Karachi(ジャミア・ダルル・ウルーム)が、暗号資産はイスラム法=シャリア上の“富”とみなされず決済手段として不適当であるとする宗教見解=ファトワを出したためだ。
これに対しPVARAのビラル・ビン・サキブ(Bilal Bin Saqib)会長は、投機的な銘柄と、裏付け資産を持つステーブルコインや、スクーク(イスラム債)のような資産担保型商品を区別すべきだと主張。同会長は、適切なルール形成により同国が「シャリア準拠のデジタル金融」で世界をリードできると強調しますが、宗教的な容認をめぐる議論の決着には至っていない。
取締機能の強化により犯罪対策が進む一方で、国内の宗教規範とどのように調和を図るかが、パキスタンの暗号資産戦略の将来を左右する鍵となっている。























