仮想通貨および USDT決済の禁止判断を受けてパキスタン当局が対話を模索
パキスタンのイスラム神学校「ジャミア・ダルル・ウルーム・カラチ」のイスラム法学者ムフティ・タキ・ウスマニ(Mufti Taqi Usmani)氏ら6名の学者は、USDTを含む仮想通貨による購入決済を「イスラム法(シャリーア)上、認められない」とする裁定を下した。
パキスタンで、仮想通貨を巡る規制当局と宗教指導者との間で議論が活発化している。学者らは、仮想通貨が未だ法的に認められた財産や資産として確立されておらず、「単に口座上の架空の数字を記録しているに過ぎない」と指摘している。
人口の9割以上がイスラム教徒であるパキスタンにおいて、この宗教的見解は国民の受容度に極めて大きな影響を与える可能性がある。
規制当局は一括禁止に異議、慎重な検証を求める
この裁定を受け、PVRA(パキスタン仮想資産規制庁)のビラル・ビン・サキブ(Bilal Bin Saqib)長官はウスマニ氏と直接会談し、イスラム法におけるデジタル資産の取り扱いについて継続的な対話を呼びかけた。
Today, I had a constructive discussion with Mufti Taqi Usmani Sahib on digital assets and the ongoing conversation around their Shariah status.
We are united on one fundamental objective: protecting Pakistanis from fraud, exploitation, and financial harm.
I shared that…
— Bilal bin Saqib MBE (@Bilalbinsaqib) July 11, 2026
本日、ムフティ・タキ・ウスマニ師と、デジタル資産とそのシャリーア上の地位をめぐる議論について、建設的な意見交換を行いました。私たちは、パキスタン国民を詐欺、搾取、そして経済的…
サキブ氏は学者の見解を直接否定はしなかったものの、ブロックチェーン技術、ステーブルコイン、トークン化されたRWA(実物資産)など、デジタル資産は多岐にわたる技術と用途を持っていると言及。「一括して禁止するのではなく、厳格なシャリーアの検証と並行して、個別の慎重な技術的評価が必要だ」と主張し、学者、規制当局、業界専門家の連携を求めた。
規制市場の構築と緩和を進めるパキスタン
この論争は、パキスタンが国を挙げて仮想資産セクターの制度化を進める中で発生した動きだ。
2026年3月に可決された仮想資産法に基づき設立されたPVRAは、サービスプロバイダーの認可や監督、ルール作りの準備を進めている。また、パキスタン中央銀行は4月、PVRAの認可企業に対する銀行口座の開設を許可し、8年間に及んだ暗号資産取引への制限を事実上解除した。これにより、厳格なマネーロンダリング(資金洗浄)対策や顧客資金の分別管理などを条件に、銀行サービスの利用が可能となっている。
国有資産のトークン化や決済導入への影響
さらにパキスタン政府は、海外企業との提携を通じた積極的なデジタル化も計画している。
バイナンス(Binance)との間での最大20億ドル(約3,246.5億円)規模の国有資産のトークン化に関する合意や、財務省と中央銀行が主導する国境を越えた決済でのステーブルコイン活用に向けた調査などが進められている。
宗教的な慎重論が浮上したものの、PVRAは現時点でライセンス規則を変更しておらず、認可企業は引き続き現行法に基づいて活動を継続。イノベーションの推進と宗教的倫理観の調和をどう図るか、今後の対話の行方が注目される。
























