タイ金融当局が不透明資金循環根絶に向けて高額USDT取引の監査へ
タイ中央銀行(BOT)は、高額の現金預金や主要なステーブルコインであるテザー(Tether/USDT)の取引に対する検査を大幅に強化する方針を固め、2026年第4四半期からの本格導入を目指している。
タイ金融当局が、不透明な資金循環(グレーキャピタル)の根絶に向けて本格的に動き出した。
ステーブルコイン「USDT」への監視の目と法的枠組み
今回の規制強化で大きな焦点となっているのが、暗号資産のUSDT取引で、BOTはタイSEC(証券取引委員会)と連携し、実質的な所有者の隠蔽(いんぺい)や国内の正規送金ルートの回避が疑われる不審な取引パターンの共同監査を進めている。
BOTのヴィタイ・ラタナコーン(Vitai Ratanakorn)総裁は、国内プラットフォームにおけるUSDT売り手の約40%を外国人が占めている現状を指摘。彼らの国内での活動に対し懸念を表明した。通常の金融チャネルを介さない巨額の資金移動を特定することが今回の調査の主な目的だ。
ただし、この監査はUSDTの利用自体を禁止するものではなく、SECは2025年3月にUSDTおよびUSDコイン(USDCoin/USDC)を承認済み暗号資産リストに追加しており、公認取引所での基軸通貨ペアとしての利用や決済への活用は引き続き認められる。
今回の措置は、あくまでマネーロンダリング(資金洗浄)防止に向けたKYC(顧客確認)および取引監視の強化を目的としたものという。
現金預金と引き出しの規制を統一
デジタル資産へのアプローチと並行して、実社会における現金流通の網の目も狭められる。当局は500万バーツ(約2,400万円)以上の現金を預金する顧客に対し、資金源の証明書類提出を義務付ける計画だ。
これはすでに4月から先行導入されている「500万バーツ以上の現金引き出し規制」を預金側にも拡大するものとなっている。引き出し規制の導入後、高額な現金の引き出し量は35%減少するという確かな成果を上げており、出入金両面でのチェック体制を整えることで口座内の資金ギャップを極限まで縮小させる狙いがある。さらに、1,000バーツ札を大量に小額紙幣へ両替するような不審な紙幣交換行為に対しても、理由の開示を求める措置が検討されているとのことだ。
金取引やオンラインギャンブル口座への拡大
規制の波は貴金属市場やその他の決済チャネルにもおよんでおり、特に金(ゴールド)取引において、オンラインで購入した直後に同日中に現物を引き出すといった不審な動きの報告が義務化された。
監視強化の結果、月間の現物金引き出し量は約4,000キログラムから約700キログラムへと劇的に減少。その他、オンラインギャンブルに関係する疑わしい口座の調査も進められている。
ヴィタイ総裁は「これらは短期的な場当たり策ではなく、複数の戦略を並行して継続的に展開していく長期的な取り組みだ」と強調。市場や顧客、暗号資産取引所が第4四半期の法改正に向けた具体的なガイダンスを待つ中、来四半期はタイ当局がグレーマネー排除に向けた実効性をどこまで示せるかの重要な試金石となる見込みだ。
























