スペイン銀行が国民にデジタルユーロへの準備紙幣を発行
スペイン中央銀行(Banco de España)は、スペイン国民に対し、デジタルユーロ導入の可能性に備え、EU(欧州連合)のCBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の運用方法の基本を説明するメモを発行したことが明らかになった。
As more and more people are choosing to pay digitally, we want to offer a digital form of central bank money with the same guaranteed value as cash.
That’s what a digital euro would be.
Why would it be so important for Europe? Find out more https://t.co/uNeB5sZtHa #digitaleuro pic.twitter.com/M7EMpWsTrQ
— European Central Bank (@ecb) October 25, 2023
デジタル決済を選択する人が増えているため、私たちは現金と同じ価値が保証された中央銀行通貨のデジタル形式を提供したいと考えています。
それがデジタルユーロです。
なぜヨーロッパにとってそれがそれほど重要なのでしょうか?
スペイン銀行によると、物理的な通貨では経済と社会のデジタル化の進展によってもたらされるすべての利点を活用できないため、ユーロシステムは現金を補完するものとしてデジタルユーロを発行する可能性を分析することになったという。スペイン中央銀行の責任者は、紙幣と硬貨が通貨システムに対する市民の信頼を支えていると指摘し、デジタルユーロは中央銀行がデジタル環境で発行する貨幣へのアクセスを保証するものであるとの考えを示し、次のように述べた。
電子決済を可能にするインフラ(機械、接続、プロトコル…)は、われわれの金融システムの重要な部分であり、ユーロシステムはその健全性と可用性を保証している。デジタルユーロは、欧州の金融システムを強化し、外国の金融システムからの独立性を高める、公的かつ欧州的なインフラを基盤としている。
将来はインターネット接続を必要とせずにデジタルユーロでの決済が可能に
同中央銀行は、インターネットサービスの欠如がサービスに与える影響に関する懸念に対処するため、オンラインサービスも利用できるものの、インターネット接続を必要とせずにデジタルユーロでの決済が可能になると述べている。
オフラインモードは、ネットワーク障害に対するバックアップソリューションを提供し、現在デジタル決済が選択できない地理的地域でもデジタル決済を可能にできる。そのため、デジタルユーロは、紙幣や硬貨のように、ユーロ圏全域で広く受け入れられる決済手段となり、口座開設、無料で簡単に利用できる資金投入、決済などの基本的なサービスを提供することになる。
しかし報告書は、10月18日にデジタルユーロプロジェクトの準備段階が開始されたことを指摘したが、発行の決定はまだなされていない。オフライン操作では、利用者だけが自分の支払い情報を見られるため、現金と同レベルのプライバシーも確保でき、利用者は金融機関を通じてデジタルユーロにアクセスし、金融機関のみが利用者の個人情報を閲覧できる。また、利用者は金融機関を通じてデジタルユーロにアクセスし、その金融機関だけが利用者の個人情報を知れるが、各取引の背後に誰がいるのかはわからない仕組みとなっている。
EUのステーブルコイン規制は、欧州における仮想通貨の普及を制限か
今回の報道は、ECB(欧州中央銀行)がデジタルユーロプロジェクトを次の段階に進めると発表したことを受けたものだ。
スペインの中央銀行が発表した文書に掲載されたプロジェクトカレンダーによると、準備段階は来月より開始され、2025年に終了する予定だ。こうした状況を踏まえ、GDPR(General Data Protection Regulation:EUのデータ保護規制当局)は、デジタルユーロにおけるプライバシー対策の強化を要求。EU理事会は5月、かつて自由奔放だった仮想通貨業界を規制するため、MiCA(仮想通貨市場法)を承認。実際、MiCAはデジタル資産をめぐる規制を明確にするもので、切望されていたが、プライバシーやイノベーションへの潜在的な影響については懸念点もある。EUのステーブルコイン規制は、欧州における仮想通貨の普及を制限しかねないとの指摘も聞こえている。