必須のKYC検証は、韓国のプライバシー法に反する可能性が浮上
韓国政府が準備している顧客を知るためのKYC検証および、マネーロンダリング防止(AML)のためのコンプライアンスプロセスが、既存の個人情報保護法に違反している可能性が浮上している。
Digital Todayによれば、韓国政府が新たに定めるKYC検証などを必須とする法令は、企業が法的に社会保障番号を要求することはできないと規定している既存の個人情報保護法に違反しているとのことだ。今回の法令は2021年3月に施行される予定であり、仮想資産サービスプロバイダーが社会保障番号などの個人データと照合して、顧客の実名を確認することを目的としている。
Financial Information Analysis Instituteは、現在の韓国仮想通貨取引所が、顧客へのKYCなどを義務付けておらず、金融機関という立ち位置ではなく、「インターネットショッピングモールのような通信販売業者」であるとのこと。仮想通貨業界を専門とする地元の法務専門家は、「仮想資産運用者がこのような曖昧な立場にあることは悩ましいことであり、金融機関とみなされるためにはまだ長い道のりがある。」と述べている。
また法務専門家によると、今後、AMLおよび、KYC法案における仮想通貨の立ち位置を明確にし、社会保障番号の要求に関して、仮想通貨取引所に法的免除を適用できるかどうかをできるだけ早く議論する必要があるという。
韓国では今年3月に仮想通貨取引所の登録制に関する法案を可決しており、国内での仮想通貨取扱業務に関して2021年9月までにFIUに登録することが義務付けられた。また、仮想通貨取引所は実名のアカウントによる入出金サービスとISMS認証の導入が必須となっており、仮想通貨取引所を運営するにあたってこれまでよりも厳しい条件が課せられたことになる。
これにより、一部の中小規模取引所では流動性の低下が顕著に見られ、多くの仮想通貨ペアを上場廃止する自体にも陥っているようだ。しかし、韓国では大手取引所であるUpbitやBithumbなどでもハッキング事件が複数回確認されており、AMLやKYCは導入せざるを得ない状況だと言えるだろう。