米国の規制当局が共同でステーブルコイン発行者へ規制対象銀行と同様の本人確認義務化規則案を提案

米国の規制当局が共同でステーブルコイン発行者へ本人確認義務化規則案を提案

米国の5つの規制当局は、ステーブルコイン発行者に対し、顧客の本人確認を義務付けることが盛り込まれた、銀行と同様の本人確認義務化規則を新たに提案した。

FDIC(連邦預金保険公社)は、FRB(連邦準備制度理事会)、OCC(通貨監督庁)、NCUA(全米信用組合管理局)、FinCEN(金融犯罪取締ネットワーク)の5つの規制当局が共同で、130ページに及ぶ規則案を2026年6月18日(木曜日)に発表した

この要件は、昨年(2025年)成立した決済用ステーブルコインに関する初の包括的な連邦枠組みを構築する法律GENIUS法に盛り込まれた条項に基づいており、ステーブルコイン発行者に対し、銀行秘密法に基づく顧客本人確認プログラム要件を課すことが示唆されている。なお、この法律は、署名から18カ月後、もしくは連邦当局が施行規則を最終決定してから120日後に発効する見込みだ。

新たな標準は顧客本人確認プログラム

銀行は20年以上にわたり顧客本人確認プログラムを実施しており、今回の新規則は、同様の手法をステーブルコイン発行者にも適用し、口座開設前に氏名、住所、生年月日、身分証明書番号の収集を義務付けるものとなっている。

注目しておきたいのは、“口座”の定義で、当局は明確な線引きをし、トークンの発行や償還など、“顧客が発行者と直接やり取りする場合にのみ適用”される。取引所での取引やウォレット間送金(ステーブルコイン取引の大部分を占める)は、この規則の対象外となっている。

しかし、この区別については、FRB理事会の全員の賛成ではなく、マイケル・バー(Michael Barr)理事は規則に賛成票を投じたが、声明の中でその制限について異議を唱えている。同氏は、ステーブルコインの取引量の大部分が実際に行われている二次市場の隙間を悪質な業者がすり抜ける可能性を指摘。デジタル資産犯罪に関する現在の国際的な連携は依然として不十分であると主張した。

もう一つ注目しておきたいのは、今年5月に就任したばかりのケビン・ウォーシュ(Kevin Warsh)FRB議長は、賛成または反対ではなく、投票棄権という選択をしている点だ。当局は、この規則が影響を受ける企業の正確な数を把握しておらず、当初3年間でおよそ50社の発行体が影響を受けると推定。その多くが独立した暗号資産企業ではなく、既存の銀行や信用組合の子会社として運営されると予想している。

なお、この規則案は、6月22日(月曜日)に米国連邦官報に正式に掲載された後、60日間パブリックコメントを受け付けるとしている。