オーストラリア市場での事業拡大に向け現地法人を設立
米国の仮想通貨取引所ジェミニ(Gemini)は、成長が続くオーストラリア市場に進出した。
現地法人の設立と当局登録を通じて規制対応を強化し、利用者基盤の拡大を図る方針だ。ジェミニは「Gemini Intergalactic Australia(ジェミニ・インターギャラクティック・オーストラリア)」を設立し、AUSTRAC(オーストラリア金融取引報告・分析センター)への登録を完了。これにより、同国で仮想通貨交換サービスを提供できる体制を整えた。
同社は2019年から豪州居住者にサービスを提供してきたが、従来はグローバル部門経由だった。現地法人化により、決済システムとの連携や法令順守を一段と進める。アジア太平洋地域責任者のサード・アーメド(Saad Ahmed)は、豪州の導入率を「23~25%」と説明。Independent Reserveの指標では普及率が28%から31%へ上昇している。市場拡大を受け、シドニー拠点の現地チームを立ち上げ、責任者にジェームズ・ローガン(James Logan)氏を起用した。
また同社は先月、IPO(新規公開株式)で4億2,500万ドル(約650億円)を調達し、ナスダック(Nasdaq)に上場した。
現地規制とグローバル展開への布石
ジェミニはAFSL(オーストラリア金融サービスライセンス)の取得を目指し、ステーキングやクレジットカードなどの提供を順次検討する。
一方で、政府が示した新たな仮想通貨取引所の監督強化案については、ロビー活動を控えつつ協議の推移を見極める構えだ。米国では、個人向け貸付「Gemini・Earn(ジェミニ・アーン)」を巡るSEC(米国証券取引委員会)との係争で暫定和解に達した。マンハッタン連邦裁判所に提出された書簡では、和解により訴訟が「完全に解決」されることが示され、最終書類は2025年12月15日までに提出予定で、SECの承認が条件となる。
アーメド氏は、顧客中心の体制を前提に「どのような規制が導入されても対応できる」と述べ、オーストラリアを地域戦略の中核として位置づける姿勢を示した。