日本、仮想通貨カストディ登録制度を2026年導入へ

日本の金融庁が暗号資産カストディ登録制度を導入することを象徴するイメージ。ビットコインと法廷を背景にしたデジタル金融規制の概念写真。

外部システム提供企業にも監督強化の動き

日本金融庁は、仮想通貨取引所のシステムを提供する外部企業に登録を義務付ける新制度を導入する方針を固めた

制度は11月7日に金融審議会で議論され、多くの委員が賛同した。金融庁は2026年の通常国会に金融商品取引法の改正案を提出する見通しであり、これまで取引所の裏側で取引処理や資産管理を支えてきた第三者企業を正式に監督下に置く構えだ。

これにより、仮想通貨取引を支える基盤的なインフラに統一されたセキュリティ基準を適用し、利用者保護を一段と強化することが狙いとされる。登録制度が施行されれば、仮想通貨取引所は政府の承認リストに掲載された企業のみを利用できるようになり、無登録企業の関与を原則として禁止する方向となる。外部プロバイダーは、システムの信頼性やデータ保護体制などを当局に証明した上で、業務登録を受ける必要がある。

DMM事件を契機に抜け穴是正へ

制度導入のきっかけとなったのは、2024年5月に発生したDMM Bitcoinのハッキング事件だ。

約482億円相当のビットコインが流出し、日本国内の仮想通貨史上最大規模の損失となった。調査の結果、攻撃の経路はDMMが取引業務を委託していた東京のソフトウェア会社Gincoであることが判明。取引所自体が高いセキュリティ基準を満たしていても、外部企業の脆弱性が致命的なリスクを招くことを浮き彫りにした。

金融庁は事件後、システムプロバイダーにも取引所と同等の監督基準を適用すべきだと判断。登録制度の導入により、こうした第三者企業がユーザー資産に関与する場合、セキュリティ、内部統制、データアクセスの仕組みまで審査対象に含まれることになる。制度が整えば、取引所が自社で安全対策を徹底しても外部からリスクが入り込む「盲点」は大幅に減少すると見込まれる。

金融庁は2026年の通常国会で法改正案を提出し、仮想通貨管理システムの登録・監督を法制化する予定である。制度が発効すれば、日本は世界で初めて仮想通貨のインフラレイヤーを直接規制する国の一つとなる。

デジタル金融への転換とステーブルコイン戦略

今回の動きは、金融庁が推進するデジタル金融戦略の一環でもある。

日本は近年、仮想通貨と法定通貨の融合を視野に、ブロックチェーンを活用した決済・送金インフラの整備を進めてきた。2025年11月からは、MUFG、SMBC、みずほ銀行の3大メガバンクが参加するステーブルコインの共同実証プロジェクトを支援し、三菱商事、プログマット、三菱UFJ信託銀行も参加している。これにより、企業間決済や金融機関間の送金プロセスを高速化し、既存の銀行システムの効率化を狙う。

さらに、金融庁は円建てステーブルコイン「JPYC」を正式に承認し、電子決済手段としての運用体制を整えた。これらの施策は、ブロックチェーン活用の実証と同時に、規制遵守のもとでの技術革新を促進する構造となっている。

仮想通貨の保管・管理制度の整備とステーブルコイン実証を両輪で進めることで、日本は「安全性と革新性の両立」を目指す金融デジタル化戦略を明確に打ち出した。金融庁は取引所、カストディ、決済システムを包括的に監督する新たな金融インフラの枠組みを形成し、信頼性の高いデジタル資産市場の構築を進めている。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム