シンガポール金融庁は新たな仮想通貨規制強化を発表

シンガポールは新たな仮想通貨規制強化を発表

シンガポールの金融監視機関であるMAS(シンガポール金融庁)は、高度に投機的な資産から顧客を守るため、個人仮想通貨投資家に新たなルールを課す予定であることが明らかになった。

MASは、デジタル資産サービスプロバイダーに対する規制措置を強化するための新たなガイドラインを発表しており、この措置は来年中に施行される予定だ。2023年11月23日(木曜日)に発表された声明の中で、MASは仮想通貨ビジネスが個人顧客にインセンティブを提供することを制限することを目的とした新たな規制措置を提案。サインアップ時の無料トークンなどのインセンティブは、仮想通貨サービスを利用する個人顧客の判断を不当に損なう可能性があると述べている。

MASには消費者の利益を守る義務がある

シンガポールは、進化するエコシステムの多くの利点を活用し、魅力的なハブとしての地位を確立するというビジョンに沿い、仮想通貨業界の規制に積極的なアプローチを維持している。

規制当局は、新規則に関するコンサルテーションペーパー(※Consultation Paper:諮問書)回答者の大半がこの制限に同意していないことを認めており、MASは、このような発明は関連するリスクを十分に考慮することなく人々をトークン取引に誘い込む可能性があると述べている。そのため、事業者が顧客にインセンティブやマージンレバレッジ取引を提供することは許されないとMASは裁定。シンガポールの金融規制当局は、仮想通貨ビジネスが現地で発行されたクレジットカードを受け入れることも禁止しているとのこと。

また、業務遂行に関して、デジタル決済トークンサービスプロバイダーは、実際の利益相反を特定、緩和、開示し、デジタル資産の上場を管理するポリシーを公表しなければならなお。さらに、顧客からの苦情を処理し、紛争を解決するための強固な方針と手続きを確立することも求められる。MASのホー・ハーン・シン(Ho Hern Shin)副専務理事(金融監督)は、投資家に対し、デジタル資産を取り扱う際には警戒を怠らないよう求める注意喚起の声明を発表したうえで、次のように述べている。

DPT(※Digital payment token service:デジタル決済トークンサービス)サービスプロバイダーは、そのプラットフォームと交流し、サービスを利用する消費者の利益を守る義務がある。これらの事業行為および消費者アクセス措置は、この目的を達成するのに役立つが、仮想通貨取引の本質的に投機的で非常にリスクの高い性質に関連する損失から顧客を保護することはできない。

シンガポールの仮想通貨取引規制への最新の取り組みは、MASがシンガポールドルやG10通貨にリンクするステーブルコインの発行者を対象とした新しいルールを発表した直後に行われており、この枠組みには、ステーブルコインの安定性、資本、額面償還、顧客への監査結果の開示に関する要件が含まれている。

また、規制当局は、指定された基準をすべて満たすステーブルコイン発行者のみがMAS規制ステーブルコインとして指定申請できることを強調している。規制措置は、サービスプロバイダーに十分な過渡期を提供するため、2024年に完全実施される予定だ。