GoogleのAI決済プロトコル、Coinbase提携でステーブルコイン活用へ

AIとロボットの手がステーブルコインを操作する未来的なイラスト

Google、AI決済プロトコルでステーブルコイン統合を加速

Googleは、AI(人工知能)アプリケーションがステーブルコインを含む決済を送受信できる「AP2(Agent Payments Protocol)」を公開した。

クレジットカードやデビットカードなど既存レールと仮想通貨決済の両方を扱う設計で、AIエージェント間の価値移転を相互運用的に実現する。開発にはコインベース(Coinbase)をはじめ60社を超える企業が協力し、Ethereum Foundationも設計面で関与した。自律的に動くAIと金融インフラの接続を前提に、実運用を見据えた枠組みである。

Agent Payments Protocolの要点

AP2は、エージェントと加盟店の間で安全かつコンプライアンスを満たす取引を行うための共通言語を提供するオープンプロトコルである。複数の決済手段をサポートし、ユーザーと加盟店に一貫性のある体験をもたらすとともに、金融機関にはリスク管理に必要な透明性を与える。

Googleが導入したAgent2Agentフレームワークを拡張し、メッセージ交換から価値の伝達まで領域を広げた。

相互運用と安全性

オンチェーンとオフチェーンの両レールを扱える点が中核である。Google Cloudのジェームズ・トローマンズ(James Tromans)氏は、既存機能に加えてステーブルコインなど将来機能にも対応する方針を示す。コインベースのエリック・レペル(Erik Reppel)氏は、両社の決済メカニズム間で相互運用性を確保する取り組みを説明する。これによりAIエージェントは標準化された手順で送金を開始し、検証し、決済できる。

Coinbase連携とイーサリアム対応の狙い

Googleはコインベースと連携し、ステーブルコインのレールをAP2に組み込む。Ethereum Foundationに相談しつつ、既存の標準を踏まえた設計を進める。

EIP-3009などのトークン転送仕様やHTTP 402の応用可能性を意識し、企業決済とオンチェーン決済の橋渡しを狙う。Salesforceを含む多様な企業が開発コミュニティに加わり、American Express、JCB、Mastercard、UnionPay、Worldpayなど大手決済事業者も参画している。

想定ユースケース

ステーブルコイン統合により、AI主導のマイクロトランザクションやサービスレベルの自動支払いが現実味を帯びる。エージェントがコンピューティング、データ、APIを直接購入する市場も形成し得る。人手の介在を最小化し、AI同士が目的に沿って取引を完結させる運用モデルである。

導入の見通しと市場動向

Galaxy Digitalのマイク・ノボグラッツ(Mike Novogratz)氏は、AIエージェントがステーブルコインの重要な利用者になると述べている。

Ethereum Foundationも、自律型エージェントが「イーサリアムの最大のパワーユーザー」となる可能性に言及している。規制面では、2025年7月にGENIUS法が成立し、米国でステーブルコイン発行に関する初の政府規則が整備された。

オンチェーンデータでは流通総額が2,890億ドル(前年末2,050億ドルから増加)とされ、予測では2028年末に時価総額が1.2兆ドルに達する可能性が示される。マッキンゼーも2025年末に4,000億ドル超、2028年には約2兆ドルへ拡大すると見ている。AP2はこの潮流に合致し、カード決済と仮想通貨決済を同一のプロトコル下で扱うことで導入障壁を下げる。まずは企業ユースを中心にパイロットを重ね、相互運用性とコンプライアンスを担保しながら段階的に利用範囲を広げる展開が見込まれる。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム