違法ビットコインマイニングでマレーシアの電力会社に巨額損失
マレーシアの国営電力会社であるTenaga Nasional Berhad社(テナガ・ナショナル・バーハド、※以下、TNBと表記)は、違法マイニング関連の電力盗難により4億4,000万リンギット(約154.8億円)以上の損失を報告した事がわかった。
現地メディアの報道によると、マレーシア刑事捜査局長のスハイ・リザイン(Suhai Rizain)氏によると、2020年以降、違法マイニング関連の電力盗難はTNBの財務に大きな打撃を与え、2023年だけで1億300万リンギットの損失につながったという。仮想通貨マイニングによる損失は長年にわたって急増しており、2020年にTNBは590万リンギット(約2億円)の損失を記録。この数字は2021年に1億4040万リンギット(約40億円)にまで増加し、2022年には1億2,490万リンギット(43.8億円)、2023年は6,710万リンギット(23.5億円)となっている。
マレーシアのビットコインマイニング
2024年7月、TNBは同様の数字を報告し、2018年から2023年までの違法ビットコインマイニング活動による損失が7億5,500万ドル(265億円)を超えたと指摘。
エネルギー転換・水資源変換担当副大臣のアクマル・ナシル(Akmal Nasir)氏は、仮想通貨マイニングが総エネルギー消費量のわずかな部分を占める一方で、国に大きな経済的影響を与えたことを認めた。さらに、当局は違法マイニング活動に関連する50万ドル(約7,600万円)相当の電気製品を押収し、デジタル資産に関わる脱税の取り締まりを開始。刑事捜査局は、これらの多額の損失に寄与する要因、特に2022年と2023年に観察された傾向を調査予定とのことだ。
違法ビットコインマイニングでは、許可されていない電力を使用してコンピューターに電力を供給し、複雑な数学的問題を解いてユーザーがビットコインを獲得できるようにする。このような行為は、大量の電力消費につながる可能性があり、マイナーが使用した電力に対して支払わない場合は盗難につながる。ビットコインマイニングは、ブロックチェーンにデータを追加する複雑な作業であり、苦情の対象となっている。一部の人にとっては間違いなく儲かる取引だが、確実に現地の電力網に影響を及ぼしている。