WazirXハッキング被害者が取引所に対する集団訴訟を計画
2億3,500万ドル(約359.5億円)のハッキングを受け、被害者グループが仮想通貨取引所WazirX(ワジールX)に対する訴訟を準備していることが明らかになった。
現地メディアの報道によると、2024年7月18日(木曜日)にWazirXがハッキングされ、同プラットフォームのホットウォレットからユーザー資金の約45%が流出。この事件の被害者30人が、インドのNCDRC(National Consumer Disputes Redressal Commission:国家消費者紛争救済委員会)に集団訴訟を起こす準備をしているという。
5クローネ(約9,000万円)以上の仮想通貨の回収を求める被害者らは、取引所が法的境界を逸脱した行為を行ったと主張。2億3,500万ドルのハッキングは約400万人のユーザーに影響を与え、取引所はシンガポールでのスキーム・オブ・アレンジメント(現地の破産法に基づく再建手続き)を求めざるを得なかったようだ。
不透明で分かりづらいWazirXの運営者
11月中旬までに提訴される予定の訴訟は、WazirXのユーザーとの契約がインドの事業体であるZanmai Labs Pvt.Ltd.を通じたものであるという主張にかかっているとのこと。
集団訴訟では、最高裁の弁護士であるアマン・リハーン・カーン(Aman Rehaan Khan)氏が被害者の代理人を務めており、親会社のZettai Pte Ltdを通じてシンガポールで資産再編を申請するという取引所の決定は、法的に正当化されるものではないと主張。というのも、シンガポールを拠点とするZettaiが取引所を監督し、Zanmai Labsがインド人ユーザーの現金預金を取り扱っており、当初、ZanmaiはインドにおけるWazirXの運営を担当していたが、現在はZettaiが完全所有している。WazirXのウェブサイトによると、バイナンス(Binance)との所有権争いの後、Zettaiがプラットフォームの資産を引き継いだと記載されている。
一方で、ハッキングからほぼ1カ月後、同取引所はユーザーが保有する仮想通貨の55%と現金預金の66%を引き出すことを認めると発表。しかし、同取引所がユーザーの現金残高の3分の1が凍結されたことを明らかにしたのは、別の法的紛争と法執行機関による継続中の捜査が原因であることが初めてであった。
WazirXはさらなる違反行為か
カーン氏はさらに、第三者機関によって現金残高が凍結されたことを利用者は知らされていなかったとし、これも補償や罰則を受けるべき違反行為だと主張した。
実際、インド最大の仮想通貨取引所の1つであるWazirXは、近年、重大な精査と法的課題に直面。今訴訟以外にも、デリー高等裁判所に2件の訴訟が提起されており、8月28日、CoinSwitchの共同設立者であるアシシュ・シンハル(Ashish Singhal)氏は、同取引所のセキュリティの不備を告発し、さらに、もう一人の投資家ジャイビル・ベインズ(Jaivir Bains)氏は2024年10月18日(金曜日)、ハッキングの調査を求める嘆願書を提出している。