Aaveプロトコルへの長期調査が終了
SEC(米国証券取引委員会)は、DeFi(分散型金融)プロトコルを開発するAave Labsに対して約4年間にわたり実施してきた調査を終了し、執行措置を勧告しない判断を示した。
2021年から続いていた審査が区切りを迎え、Aave(アーベ)およびDeFi(分散型金融)分野を巡る状況は一定程度整理された。一方で、SECは今回の判断がプロジェクトへの承認や免責を意味するものではないとも明記している。
SECがAaveプロトコルへの調査を正式に終結
Aaveの創業者兼CEO(最高経営責任者)であるスタニ・クレチョフ(Stani Kulechov)氏はXで、SECがAaveプロトコルに関する調査を正式に終了したことを明らかにした。
SECからの通知には、現時点で入手している情報に基づき執行措置を勧告する予定はないと記されており、約4年にわたる調査はここで終了した。ただしSECは、この結論がAaveや関連事業に対する承認を意味するものではなく、将来的な判断を拘束するものでもないと説明している。調査終結は、現段階で強制的な執行が行われないことを示す判断となった。
Aaveは、スマートコントラクトを通じて仮想通貨の貸借を可能にする分散型金融プロトコルで、数十億ドル規模の総預かり資産を抱えるDeFi分野最大級のプロジェクトの一つとして知られている。
After four years, we are finally ready to share that the SEC has concluded its investigation into the Aave Protocol.
This process demanded significant effort and resources from our team, and from me personally as the founder, to protect Aave, its ecosystem, and DeFi more… pic.twitter.com/aZeLrZz5ZQ
— Stani.eth (@StaniKulechov) December 16, 2025
クレチョフ氏が公開したXの投稿には、SECから送付された正式な通知文書の画像も添付されており、Aaveプロトコルに関する調査が終了し、現時点では執行措置を勧告しない方針であることが明示されている。同氏は投稿の中で、調査対応がチームと創業者個人にとって大きな負担だったとした上で、Aaveとそのエコシステム、さらにはDeFi全体を守るために必要なプロセスだったと振り返った。また、近年のDeFi分野が不当な規制圧力に直面してきたとの認識を示し、開発者が真に金融の未来を築く新たな局面に入ったとの見方を示している。
調査対応の負担とDeFiを取り巻く規制環境
クレチョフ氏は、今回の調査対応をAaveおよびDeFi分野を守るための過程だったと振り返り、調査終結によって開発者がイノベーションに集中できる環境が整いつつあるとの見方を示した。
AAVE保有者がブランド管理を巡る提案を提出
調査終了の発表直後、AAVEトークンの保有者からは、Aaveのブランドやドメイン、ソーシャルメディア、開発者向けゲートウェイの管理権限をDAOに集約することを求めるガバナンス提案が提出された。
提案では、aave.comを含む主要なオンライン資産を特定の民間団体が単独で管理すべきではないとし、トークン保有者による投票を通じてDAOの管理下に置くべきだと主張している。また、ブランド資産が一部の組織に集中することで、他の貢献者が従属的な立場に置かれ、エコシステム全体のインセンティブが歪められるリスクがあるとも指摘された。この提案はAave Labsを排除するものではなく、DAOモデルの健全性を維持し、貢献者が平等に関与できる体制を確立することを目的としている。
SECによる調査の終結とその後のガバナンスを巡る動きは、米国における仮想通貨規制とDeFiの今後を考える上で一つの節目となりそうだ。
























