トランプ政権案、ガザ再建で土地をトークン化　移転資金は仮想通貨支給の構想

ガザ住民移転と資金調達をデジタル化する包括案

38ページの提案文書「Gaza Reconstitution, Economic Acceleration and Transformation Trust：ガザ再建・経済加速・変革トラスト（GREATトラスト）」は、ガザを少なくとも10年間米国信託統治下に置き、土地の権利をトークン化して国際資本を呼び込みながら復興を進める構想を示すものである。

The scheme would tokenize Gaza’s land on blockchain…

A leaked 38-page proposal called the GREAT Trust reportedly tied to Trump-era circles envisions a US trusteeship over Gaza for at least a decade following the war.

The plan would displace Gaza’s 2 million residents…

— Zeus (@ZeusCrypto_) September 1, 2025

住民には移転費用として仮想通貨や特別トークンを配布し、新設されるスマートシティの住宅と交換可能とする。計画は大規模インフラとデジタル金融を軸に、戦後復興と経済成長を同時に狙うとして注目を集めている。

GREATトラストの骨子

ガザ再建を監督する米国主導の信託枠組みを設け、統治権を新たなパレスチナ自治政府に引き継ぐまでの移行期を管理する設計である。

中核は「トークン化された土地」であり、ブロックチェーン台帳により権利関係を可視化し、投資家に販売して復興資金を調達する。投資案件はデータセンター、EV工場、高級リゾートなどを含む総額1,000億ドル（約14.8兆円）規模とされ、10年で4倍の投資リターンとの見立ても示される。なお、財務計画への関与が取り沙汰されたボストン・コンサルティング・グループ（BCG）は、7月の声明で関与を公式に否定している。

メガプロジェクトと都市像

文書には「イーロン・マスク・スマート製造ゾーン」「ガザ・トランプ・リビエラ&アイランド」など10の大型計画が列挙される。港湾や高速道路、鉄道、データセンター群に加え、6〜8のAI活用型巨大都市を新設し、観光とテクノロジーの複合拠点として「中東のリビエラ」への転換を掲げる。

住民移転とデジタル給付の仕組み

計画は、復興の移行期に住民へデジタル給付を行い、希望者の移転を支援する設計である。

住民には土地に紐づくトークンが付与され、後に新都市のアパートや別地域への移転と交換できるとされる。仮想通貨の配布と台帳管理により、支出の追跡性と監査可能性を担保する狙いである。

インセンティブの内訳

推計では50万人超が一時退去し、37万5,000人が恒久移転する可能性が示されている。移転を選択した住民には5,000ドル（約74万円）の現金、4年間の家賃補助、1年間の食料支援が提示され、食料支援は新たなデジタルトークンシステム経由で配布される構想である。移行期には仮設住宅の提供も盛り込まれる。

評価と論点

本構想は復興資金の調達手段としてブロックチェーンの透明性と流動性を活用する点で先進的である一方、強い反発も招いている。

米イスラム関係評議会（CAIR）などの市民権団体は、トークン化を名目とした土地収用につながり得るとして厳しく批判し、ハマス幹部も「ガザは売り物ではない」と反対する。先祖伝来の土地への深い結びつきを理由に、金銭的インセンティブでは解決し得ないとの声も根強い。他方で、ゼロからの再建機会として経済的自立と雇用創出を期待する見方もある。

政治動向と暗号通貨の接点

構想の議論には、ドナルド・トランプ（Donald Trump）氏に加え、ジャレッド・クシュナー（Jared Kushner）氏や英国のトニー・ブレア（Tony Blair）元首相らが出席する会合が行われた。

内容は公表されていないが、ブレア氏はガザの将来像について前向きな見解を示したとされ、リゾート都市化のビジョンを後押しする。一方で、トランプ氏は現在の紛争対応では強硬姿勢を崩しておらず、地域情勢や人質交渉を巡る力学はなお不透明である。

トランプ氏は近年、仮想通貨分野との関係を強めており、独自のミームコイン「TRUMP」を立ち上げ、ステーブルコイン規制のGENIUS法案を支持し、World Liberty Financeによる1ドル建てステーブルコインの発行を支援したとされる。本計画は、同氏のデジタル金融志向と復興構想が交差する象徴的事例といえる。