GENIUS法案が重要な投票で勝利、上院本会議での採決へ

GENIUS法案を象徴するステーブルコインとアメリカ国会議事堂のイラスト

米国上院、ステーブルコイン規制の重要法案を採決へ

米・上院はステーブルコインに関する主要法案「GENIUS法案」について、審議打ち切りを意味するクロージャー投票を実施し、賛成68対反対30で可決した。

JohnThune『Thune: Senate to Vote on the Bipartisan GENIUS Act(日本語訳:トゥーン上院議員:上院は超党派のGENIUS法案に投票へ)』より画像引用

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この結果、法案は2025年6月16日(月曜日)に予定されている本会議での最終採決に進むことが決まった。クロージャーは、上院において最終採決への道を開く重要な手続きであり、議論を制限して審議を終えることを意味する。法案が成立すれば、米国で初めてステーブルコインに対する全国的な規制枠組みが導入される可能性がある。

規制枠組みと超党派の対立構図

GENIUS法案は、ステーブルコイン発行者に対し、米ドルまたは同等の流動性資産による100%の裏付けを義務付けている。

さらに、時価総額が500億ドル(約7兆円)を超える場合には年次監査の実施を求め、外国発行ステーブルコインに対する規制強化も含まれている。この法案は、発行者に対する連邦レベルでの規制枠組みの構築を目指しており、各州でバラバラだった規制の統一も視野に入れている。

起草に尽力した上院銀行委員会のティム・スコット(Tim Scott)委員長は、「これは偶然ではない。われわれが主導権を握った結果だ」と述べ、行動力と超党派の成果を強調。提案者のビル・ハガティ(Bill Hagerty)上院議員も「ステーブルコイン規制に常識的で超党派のアプローチを取っている」と評価している。

一方で、ニューヨーク州のチャック・シューマー(Chuck Schumer)議員やエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)議員ら、一部の民主党議員は法案に反対している。ウォーレン議員は、法案がトランプ氏の家族が関係する仮想通貨プラットフォームに利益をもたらす可能性を指摘し、「腐敗の拡大に加担するものだ」と非難した。ジョン・トゥーン(John Thune)院内総務は、「この法案を前進させる時が来た」と述べ、ステーブルコインが国家安全保障にも関わる重要な問題であることを強調した。

投票前には、トランプ政権の上級顧問が政権声明の中で、現在の法案に署名を推奨する意向を示している。

民間の視点と今後の展開

デジタル・アセット(Digital Asset)社のCEO(最高経営責任者)であるユヴァル・ルーズ(Yuval Rooz)氏は、「この法案は、執行ベースの曖昧な規制から、明確性に基づく規制への重要な転換点だ」と評価し、銀行がステーブルコインに積極的に関与できる枠組みの整備に期待を示した。

ルーズ氏はさらに、「規制だけでは不十分」とし、プライバシーとユーザーのコントロールが信頼の基盤になると主張している。

法案が上院を通過した場合、次は下院に送られ、すでに独自法案を審議中の下院側と内容の調整が行われる。下院金融サービス委員会では5月に、別のステーブルコイン法案「より良い台帳経済のための透明性と説明責任法案」が承認されており、両院での協議が注目されている。

両法案は、連邦と州の監督権限や、テザーのような外国発行ステーブルコインの扱いなどで意見が分かれており、統一法案の策定にはさらなる調整が必要とされる。GENIUS法案の今後の動向は、米国の仮想通貨政策全体に大きな影響を及ぼすとみられている。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム