テザー社がドイツの米国債保有量を追い越す
世界で最も取引されているステーブルコインUSDTを発行するテザー(Tether)社は、米国債保有量でドイツを追い越した。
米国財務省のデータとテザーの2025年第1四半期のアテステーションレポートによると、テザー社は、現在1,200億ドル(約17.3兆円)以上の米国債を保有しており、ドイツの1,114億ドル(約16兆円)を上回っている。これは、デジタル資産エコシステムにおけるテザーの優位性と、保守的な準備金管理へのアプローチを強調するもので、テザー社は、世界の国や団体の中で19番目に大きい米国債保有者となった。
同社は、この節目の達成を、分散化されたリスク回避的な準備金配分戦略の成果だと考えており、高い流動性と最小限のリスクで知られる米国債は、Tetherのドルペッグトークンの裏付け資産の大部分を占めており、同社は声明の中で次のように述べている。
この節目は、当社の保守的な準備金管理戦略を強化するだけでなく、ドル建て流動性の大規模な分配におけるテザーの役割の拡大を浮き彫りにするものです。
業界は2大法案の展開を注視
米国でステーブルコイン規制に関する議論が激化する中、テザー社の堅固な財務状況は機関投資家の関心をさらに集める可能性があり、業界は2つの重要な立法措置の展開を注視している。
4月初旬に下院金融サービス委員会で可決された「STABLE法案(より良い台帳経済のためのステーブルコインの透明性と説明責任に関する法案)」は、下院での審議を待っている。一方、「GENIUS法案(米国ステーブルコインのための国家イノベーションの指導と確立に関する法案)」は、5月8日に民主党の支持を得られず、頓挫。これは、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領一族の仮想通貨事業に関連する潜在的な利益相反への懸念が背景にあると指摘されている。
ステーブルコイン規制の推進は挫折も依然として前進
米国における包括的なステーブルコイン規制の推進は、上院での挫折にもかかわらず、依然として前進し続けている。
ワシントンを拠点とする著名なブロックチェーン推進団体、Digital Chamber(デジタル・チェンバー)のコーディ・カーボーン(Cody Carbone)CEOは、GENIUS法案の最終的な成立について、依然として非常に楽観的である。同氏は、法案が今月初めに手続き上の採決で可決されなかったものの、これは一時的な遅延に過ぎず、勢いが失われるわけではないと説明。議会が既にこの問題に関して多くの予想よりも迅速に動いているため、法案は今後数週間で可決される可能性が高いとみている。また同氏は、ステーブルコイン規制が超党派にとって魅力的であることについても言及し、米ドルの世界的な優位性を守ることは党派を超えた共通の目標であるべきだと主張した。
GENIUS法は、米国におけるステーブルコインの発行とコンプライアンスの将来を形作る可能性のある重要な立法枠組みと見られており、2026年の中間選挙までに実質的な改革が成立しなければ、デジタル資産にとって好ましい規制環境の構築に向けたこれまでの進展が後退する可能性がある。