上院民主党議員がトランプ大統領とバイナンスの関係について関係調査を要求
米・上院民主党は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の金銭的利益と仮想通貨規制における潜在的な利益相反への懸念が高まる中、連邦政府機関に対し、大統領の仮想通貨とのつながりを調査するよう求めている。
米国大統領の金銭的利益は、議員の間で深刻な懸念を引き起こしている。上院民主党議員団は、司法省と財務省の長官に書簡を送り、トランプ大統領と仮想通貨取引所バイナンスとの関係深化への懸念を表明した。
5月9日付のブルームバーグの報道によると、同上院議員らは、パム・ボンディ(Pam Bondi)司法長官とスコット・ベセント(Scott Bessent)財務長官に対し、バイナンス(Binance)が2024年11月に米国当局と締結した和解条件の遵守状況について最新情報を提供するよう要求。同要求を求めているのは同上院議員のほかに、エリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員、クリス・ヴァン・ホーレン(Chris Van Hollen)上院議員、リチャード・ブルーメンソール(Richard Blumenthal)上院議員などの人物が名を連ねている。
民主党議員らは、バイナンスが和解の一環として遵守しなければならない義務と、トランプ大統領の外国企業への関与の組み合わせについて懸念を表明。この和解に基づき、バイナンスはDOJ(米国司法省)、USDT(米国財務省)、CFTC(米国商品先物取引委員会)に数十億ドルの罰金を支払い、Cジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)氏が当時勤めていたCEO職を辞任した。
仮想通貨セクターにおける大統領の利害
トランプ氏が直近の大統領選挙で勝利して以降、多くの議員が、仮想通貨業界の法律や規制に影響を与える力を持つ一方で、仮想通貨で個人的利益を上げていることを指摘し、大統領を汚職で告発している。
大統領は、独自ミームコインを立ち上げ、上位トークン保有者にはワシントンD.C.で開催される限定ディナーへの参加機会を提供。さらに、大統領家族が支援する仮想通貨プロジェクト「ワールド・リバティ・ファイナンシャル」は、アブダビの投資会社がトランプ家と関連のある1米ドル建てステーブルコインを用いてバイナンスに多額の投資を行う計画を発表。上院議員らは声明の中で次のように述べている。
バイナンスがトランプ家のステーブルコインを用いて外国投資会社と提携しているという最近の報道を受け、同社のコンプライアンス義務に関する懸念はさらに高まっている。
トランプ大統領の疑わしい資産
超党派団体「ステート・デモクラシー・ディフェンダーズ・アクション」はトランプ大統領の純資産の大部分は仮想通貨に関連している報告書の中で指摘している。
同団体は、GENIUS法の現行の形態では、トランプ大統領が行政権を行使し、米国の利害関係者のより広範な利益よりも自身の私腹を肥やす規制環境と執行プログラムを作り上げることを阻止できないと指摘。このような現立法上の課題の中、バイナンスの元CEOであるジャオ氏は、トランプ大統領に連邦恩赦を申請したと報じられている。同氏は既に4カ月の懲役刑に服役しているものの、恩赦が認められれば、仮想通貨業界の指導的役割に復帰できる可能性がある。
仮想通貨規制に対するトランプ大統領の影響力は、議員の間で依然として疑問を投げかけている。大統領の個人的な経済的利益は明らかに利益相反を生じさせている。急速に発展する仮想通貨セクターにおける政治権力と経済的利益の絡み合いは、透明性の向上と監督の強化を求める声を呼んでいる。