英国政府による新規制草案で市場健全化と国際競争力を強化
英国政府は2025年4月29日(火曜日)、仮想通貨に関する新たな規制枠組みの草案を発表した。
今回の取り組みは、消費者保護と投資家の信頼確保を目的とし、英国をフィンテックおよびデジタル資産分野のグローバルハブとして確立することを目指している。
財務大臣レイチェル・リーブス(Rachel Reeves)氏は、ロンドンで開催されたUK Fintech Weekで、仮想通貨取引所や仲介業者などを対象とする新たな規制方針を発表。これにより、対象企業は透明性、顧客保護、運営体制において、既存の金融機関に求められる水準と同等の要件を満たすことが求められる。
英国では仮想通貨の保有率が2021年の4%から2025年には12%に増加しており、詐欺被害や運営リスクへの対策強化が急務とされている。今回の規制枠組みは、こうした課題への対応と市場の安定的成長を促すための土台として位置付けられている。
米英協調と国際的な枠組みへの接続
英国政府は、米国との協力体制を強化する中で、「UK-US金融規制ワーキンググループ」の設立を進めており、デジタル証券分野でのルール整合性を目指している。
このグループには両国の金融当局が参加し、規制の相互理解と調整が図られている。英国は欧州連合の厳格な規制とは異なる柔軟なアプローチを取っており、特に海外ステーブルコイン発行者にとって参入しやすい環境を整備しつつある。今回の規制案は国内市場向けにとどまらず、国際的なルールとの整合性を意識した「開かれた規制」として設計されている。
業界の反応と今後の見通し
政府は2025年末までに規制の最終化を目指し、業界関係者からの意見を募る方針だ。
この枠組みは、英国政府が掲げる経済成長戦略の一環と位置づけられており、仮想通貨とデジタル資産のイノベーションを促進する環境整備を進めている。業界団体や有識者からは、ステーブルコインやその他の仮想通貨に関する明確なルール設定に対し、おおむね歓迎の声が上がっている。一方で、過去の規制強化に対する警戒感も残っており、最終的な制度設計と運用方針には引き続き注目が集まる見通しだ。