コインベースがSamsung Pay対応を発表
コインベース(Coinbase)は2025年7月29日(火曜日)、米国とカナダの一部ユーザーを対象に、モバイル決済「Samsung Pay」をアプリ内で使える機能を導入した。
数タップで仮想通貨を購入できる利便性の向上を目指し、数週間以内に対象を拡大する予定である。コインベースは同日に公式Xでも「法定通貨の売却がより簡単になった。Samsung Payを使って仮想通貨を購入、またはアカウントに入金できる」と投稿し、北米で今週から順次展開を開始することを明らかにしている。
Selling your fiat just got easier.
Simply buy crypto or fund your account with @Samsung Pay on Coinbase.
Rolling out this week, starting in North America. pic.twitter.com/QEkbr6H0g9
— Coinbase 🛡️ (@coinbase) July 29, 2025
導入の背景と狙い
コインベースはこれまでApple PayやGoogle Payを導入しており、今回のSamsung Pay対応はその延長上にある。
米国ではSamsung Payのアクティブユーザーは約3,500万人と推計され、モバイル決済層への浸透を狙う施策である。サムスン(Samsung)との提携により、ユーザーはアプリの切り替えや支払い情報の再入力を行わずに、コインベースアプリから直接入金し仮想通貨を購入できる。北米の一部では既に提供が始まっており、今後数週間以内に全面展開される計画である。
市場動向
2025年の最新データでは、米国の成人の約28%(約6,500万人)が仮想通貨を保有しており、これは2021年の倍近い数字である。
未保有者の14%が年内の購入を検討し、既存保有者の67%が保有量を増やす意向を示す。ビットコイン(Bitcoin/BTC)、イーサリアム(Ethereum/ETH)、ドージコイン(Dogecoin/DOGE)が特に関心を集めている。世界全体では8億2,400万人以上が仮想通貨を保有し、ビットコインは世界人口の約5%に相当する。
機能とユーザー体験
Samsung Payユーザーはコインベースアカウントに直接入金し、そのまま仮想通貨を購入できる。
アプリ間の移動や支払い情報の再入力は不要であり、取引のハードルが低くなる。Samsung Electronics Americaのドリュー・ブラックカード(Drew Blackard)氏は、この取り組みがSamsungの連携強化の一環であると述べている。
過去のモバイル決済統合と他社の事例
コインベースは2020年以降、Google PayやApple Payとの連携を進めてきた。Apple Payでは仮想通貨の直接購入にも対応し、利便性を高めている。
Alchemy Payは2024年にSamsung Pay対応を開始し、Gemini(ジェミニ)もサムスンのウォレットと提携し、Galaxyユーザー向けの仮想通貨取引を提供する計画である。
セキュリティと展開スケジュール
Samsung Walletはトークン化と生体認証を採用し、Samsung Knoxで保護される。
コインベースも二要素認証やオフライン保管で安全性を強化している。従来の銀行振込と比べて処理は大幅に高速化し、ほぼ即時の送金が可能である。今回の導入はApple Payに続く主要モバイル決済との統合であり、数週間以内に米国・カナダの全対象ユーザーに提供される見込みである。
市場の反応
発表当日の市場前取引でコインベース(NASDAQ: COIN)は0.56%下落し377.10ドルとなった。投資家の初期反応は限定的であった。