ロシア首脳の辞任でバイナンス幹部の離反が続く

バイナンスのロシア主要幹部が退社へ

バイナンス(Binance)のジャオ・チャンポン(趙 長鵬:Zhao Changpeng)CEO(最高経営責任者)は、X(旧社名:Twitter)にて、ロシアの主要幹部の退社を発表したことが明らかになった。

同CEOはXへの投稿で次のように述べている。

日本語訳:
私たちのチームメンバーの何人かは、Binanceの外で、より大きな役割に成長しています。新しいエキサイティングな事業に取り組んでいる人もいます。それらの多くについては、紹介/参照も作成しました。私たちは皆さんを応援しています。私たちは一つのコミュニティです。
ところで、これによりBinance内でより多くの成長機会も生まれます。
FUDは無視して、構築を続けてください。

バイナンスの東欧・ロシア担当責任者であるグレブ・コスタレフ(Gleb Kostarev)氏は、フェイスブックへの投稿で退任を発表しており、同CEOとバイナンスの共同設立者であるイー・ヘー(Yi He)氏に感謝の意を表しながら、その間に他の活動を行うと述べた。また、バイナンスのロシア・CIS担当ジェネラルマネージャーのウラジミール・スメルキス(Vladimir Smerkis)氏も2年間の在籍後、同様の退社を発表した。

しかし、2人のトップは突然の退社の理由を明らかにしておらず、スメルキス氏自身は、今後数週間のうちに退社の理由を明らかにすると約束している。

次々とバイナンスを退社する幹部陣

今回の退社は、ロシアに対する複数の制裁を受け、同社がロシアから撤退する可能性があるとの憶測が高まる中で行われたものだ。

この発表以降、ロシアの仮想通貨コミュニティメンバーは、退任する2人の幹部に対して質問を投げかけている。実際、この2人の退社は、最近同社を去ったトップ・エグゼクティブのリストに加わっており、9月4日(月曜日)、同社の製品責任者であったマユール・カマット(Mayur Kamat)氏は、取引所からの退社を確認したほか、さかのぼること7月、同社の最高戦略責任者であったパトリック・ヒルマン(Patric Hillman)氏も同社を去った。

バイナンスは監視の目を強めている中で、FUD(※Fear=不安+Uncertainty=不確かさ+Doubt=疑念からくる造語で恐怖、不確実性、疑念などの不信感の事)が蔓延しており、複数国で規制上の懸念があり、バイナンスユーザーは多くの規制に直面している。8月22日にWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙は、バイナンスがP2P(ピアツーピア)サービスを通じて制裁対象銀行と海外送金をすることをユーザーに許可したことで、対ロシア制裁に違反した可能性があると主張。なお、WSJは不正送金額を4億ドル(約588億円)以上としている。

バイナンスは当初否定していたが、この報道を受けて、同社はロシアの顧客に対して新たな制限を課し、ロシアの制裁対象銀行5行を経由したP2P取引を停止同社はロシア市場での事業を再評価しており、撤退も視野に入れていることを明らかにした。バイナンスは2023年7月、約1,000人の従業員を解雇。少なくとも短期的なコスト削減に取り組んでおり、広報担当者は、同社の決定は重要な役割における適切な才能と専門知識を求めてのものだと弁明している。