香港SFC、ステーキングサービス提供企業向けの新たなガイドラインを発行:規制強化とWeb3推進の両立を目指す

香港金融当局の建物を描いたデジタルイラストと仮想通貨の象徴的ビジュアル

香港SFCがステーキングサービス提供企業に新ガイドラインを発表

SFC(香港証券先物委員会)は、仮想通貨関連企業を対象としたステーキングサービスに関する新たなガイドラインを発表した。

今回の指針は、投資家保護の徹底を図りながら、香港が掲げるWeb3分野の成長戦略との両立を目指すものとなっている。新たな制度では、ライセンスを取得した仮想通貨取引プラットフォームのみがステーキングサービスを提供できると明記されている。また、SFCの承認を受けたファンドについても、十分なガバナンスと運用体制が整っている場合に限り、ステーキングへの参加が認められる。

この規制は、SFCが推進する「ASPIRe」計画の一環であり、Access(アクセス)、Safeguards(保護)、Products(商品)、Infrastructure(基盤)、Relationships(関係)の5つの柱を通じて、仮想通貨市場の持続的な成長と適切な監督の両立を図る枠組みが構築されている。

新ガイドラインの要点と規制強化の背景

ガイドラインでは、サービス提供時に以下の要件が求められており、これらには利用者資産の分別管理、リスクの適切な開示、報酬構造の透明性、内部統制の強化などが含まれている。

また、ステーキング業務に関わる範囲や役割が明確に区分され、企業側にはより高度な説明責任が求められるようになった。加えて、ステーキングサービスを実施する際には、事前にSFCの書面による承認を取得する必要がある。ステーキングされた仮想通貨は、サービス提供者自身が管理することが義務づけられ、第三者への保管委託は認められていない。さらに、手数料体系やロックアップ期間、アンステーキングの方法、トラブル発生時の対応などについても、事前に顧客へ分かりやすく開示することが義務化されている。

SFCは、これらの措置を通じて「イールド型商品」や「第三者による投資スキーム」との違いを明確に示し、安全性の高い市場構築を目指している。

香港のWeb3戦略と今後の規制動向

SFCは2025年4月に発表された今回のガイドラインに際し、Web3分野の推進にも引き続き注力していく姿勢を示した。

これまで政府は、ブロックチェーンを活用したスタートアップ支援やイノベーション促進を進めており、今後も強固な規制のもとで市場の健全性と発展を両立させる方針だ。

SFCのジュリア・リョン(Julia Leung)CEO(最高経営責任者)は、仮想通貨サービスの拡大は香港の成長にとって不可欠であり、「投資家保護を最優先しながら、厳格な規制とコンプライアンス体制を維持すべきだ」と語った。また、SFC投資商品部門のクリスティーナ・チョイ(Christina Choi)氏も、Web3フェスティバルにて「SFCは香港のWeb3の旅を支援し続ける」と述べ、今後の成長領域としてWeb3への期待を強調した。

今回のガイドライン発表は、香港が国際的な仮想通貨ハブとしての信頼性を高める重要なステップと受け止められており、各国の規制当局や業界関係者からも注目を集めている。

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム