スイス国立銀行総裁、ビットコインを準備金として否定–その理由とは?

スイス国立銀行とビットコインの対立を象徴するアイキャッチ画像

スイス国立銀行総裁がビットコイン準備金を否定

SNB(スイス国立銀行)のマルティン・シュレーゲル(Martin Schlegel)総裁は、ビットコイン(Bitcin/BTC)を準備金に加える提案を否定した。

世界的にビットコインの採用が進み、スイス国内の仮想通貨支持者から圧力がかかる中でも、SNBはこの方針を変更する意思がないとしている。同総裁はスイスの現地メディアに対し、「ビットコインは変動が大きすぎるため、SNBの投資価値の維持には適さない」と述べ、さらに「準備金は高い流動性を持つ必要があるため、仮想通貨の導入は不適切」と強調した。また、仮想通貨が中央銀行の金融政策と相容れない点にも言及し、政府の管理が及ばないため、金融システムに組み込むのが難しいと説明した。

ビットコインを準備資産としない理由

同総裁は、ビットコインが準備資産に適さない理由として、以下の5つを挙げている。

  1. 価格のボラティリティが高い: 急激な価格変動が発生しやすく、安定資産として不適切
  2. 流動性の懸念: SNBの準備金は即時利用可能な必要があるが、仮想通貨は十分な流動性を提供できない
  3. セキュリティリスク: ソフトウェア依存のため、バグやサイバー攻撃に脆弱
  4. 環境負荷: マイニングに膨大なエネルギーを消費し、二酸化炭素排出問題と直結
  5. 規制上の課題: マネーロンダリングや脱税のリスクがあり、厳格な金融規制基準を満たしていない

また、仮想通貨市場の規模が3兆ドル(約451兆円)近くに達していることを認めつつも、「金融システム全体と比較すると依然としてニッチな現象である」と指摘。スイスフランの立場についても「仮想通貨との競争を恐れていない」と発言した。

ビットコイン準備金に関する国際的な動向

スイスがビットコインを準備資産とするか否かで議論を続ける中、他国の対応は分かれている。

  • エルサルバドル はビットコインを国庫に積み増し続けている
  • チェコ共和国と香港 は採用を検討
  • ポーランド はビットコインを準備資産とする可能性を否定

このように、各国の金融政策によって仮想通貨の受け入れ方に違いが見られる。

スイス国内の仮想通貨支持者の動き

ビットコイン・イニシアチブとは、スイス国内の仮想通貨支持者たちが推進する提案であり、スイス国立銀行が収益の一部を金やビットコインなどの資産に投資することを求めるもので、憲法改正を通じて実現を目指している。

スイス国内の仮想通貨支持者たちは「ビットコイン・イニシアチブ」と呼ばれる提案を発表。スイス国立銀行が収益の一部を金やビットコインなどの資産に投資することを求めるもので、憲法改正を通じて実現を目指している。このイニシアチブが国民投票にかけられるには、2026年6月30日までに10万の署名を集める必要がある。スイスの人口(約897万人)のうち、約1.11%の署名が求められる。

具体的には、スイス連邦憲法第99条第3項の改正を通じ、「国立銀行は、自らの収益から十分な通貨準備金を積み立てる。その一部を金とビットコインで構成する」と明記するよう提案されている。

SNBは依然として慎重な姿勢を示しているが、仮想通貨支持者たちは金融の未来を見据え、変革を求め続けている。

ABOUTこの記事をかいた人

2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム