Coinbaseでより広範なインサイダー取引が行われている可能性が浮上

Coinbaseのインサイダー取引がより広範の可能性浮上

オーストラリアのシドニー工科大学の研究者によると、Coinbaseのインサイダー取引(※1)は、米国で現在起きている事件よりも広い範囲に及ぶ可能性があることが研究で明らかになった。

(※1)インサイダー取引とは…
未公開情報を不法に共有または利用して仮想通貨取引を行い、情報を持たない投資家に損害を与える犯罪的行為の事

シドニー工科大学の金融研究者であるエステル・フェレス・ビナス(Ester Felez Vinas)教授、タリス・プットニンズ(Talis Putnins)教授、ルーク・ジョンソン(Luke Johnson)博士候補3人によって調査が実施された。「Insider Trading in Cryptocurrency Markets(※日本語:仮想通貨市場におけるインサイダー取引)」とタイトル付けされた論文の中で、仮想通貨業界ではインサイダー取引がシステム化されていると主張。過去4年間にCoinbaseの上場のうち、最大で25%がそのような活動が行われたと推定しているとのこと。

すでにCoinbase従業員2人をインサイダー取引で起訴済み

SEC(米国証券取引委員会)は以前、プラットフォーム上の新しいトークンを正式にリリースする前にリストアップし、利益を得たとして、Coinbaseの元プロダクトマネジャーであるイシャン・ワヒ(Ishan Wahi)氏と他の同取引所従業員2人をインサイダー取引で起訴していた。

しかし、ワヒ氏は同取引所に勤務していた際、インサイダー取引の告発に対して無罪を主張したが、DOJ(United States Department of Justice =米国司法省)は7月21日(木曜日)、ニューヨークで元プロダクトマネジャーを電信詐欺で起訴したとのこと。SECへの提出書類によると、ワヒ氏は兄と兄の友人であるサミア・ラマニ(Sameer Ramani)氏に上場発表を事前にリークしていたとされ、元プロダクトマネージャーは、25以上のデジタル通貨の14のCoinbase上場発表詳細を共有していたとされることが明らかになった。

実際、これらの情報により、発表が行われる前に仮想通貨を取引することが可能であり、申請書によると、2人は110万ドル(※1.5億円)以上の利益を得たという。それだけではなく、同取引所のインサイダー取引に関する研究によると、研究者は同取引所が同じトークンを上場すると発表する前に、分散型取引所でのトークンの取引が行われていたことを発見したとのこと。これは、同取引所がトークンリストアップ計画を発表する300時間前に、トークンパフォーマンスを調査したことで明らかになっており、ユニスワップ(Uniswap/UNI)のような身元確認が不要なプラットフォームでは、インサイダー取引が容易にできると主張している。

上場300~100時間前に価格追跡を実施

研究者は146のCoinbaseリストを調べ、各新規リストが取引所でライブになる300~100時間前に価格追跡を実施している。

身元確認を必要としないDEX(分散型取引所)での当該資産の異常な取引パターンを探った。インサイダー取引に結びついた時間帯を調べた研究結果によると、分散型取引所で取引されたコインは平均で40%急騰。これらのデジタル資産は、その後の100時間でさらに2%程度の取引量の増加を記録していたとのことで、研究者らは次のように語っている。

この上昇パターンは上場発表まで続き、新しい情報が市場に入り、トレーダーがそのニュースに反応するため、価格が跳ね上がることがわかります。私たちが観察した上昇パターンは、株式市場におけるインサイダー取引で起訴された事例の上昇と一致しています。

一方で、この意見への反対派として、この論文はCoinbaseでの発見を仮想通貨業界全体に適用し、単純に結果を拡大解釈しているだけであるとの指摘もある。