マンゴーマーケット(Mango Markets)が閉鎖へ
仮想通貨取引プラットフォームのマンゴーマーケット(Mango Markets)は、1億1,700万ドル(約184億円、※現在レート)のハッキング被害を受けた後、SEC(米国証券取引委員会)との和解を経て運営を終了することを発表した。
マンゴーマーケットは、DeFi(分散型金融)エコシステム内で有名なプラットフォームであり、高速で低コストな取引を特徴としていた。しかし、2022年10月に発生したハッキング事件により、プラットフォームは甚大な損害を被った。
ハッカーのアブラハム・アイゼンバーグ(Avraham Eisenberg)は、初期資本として500万ドル(当時のレートで約約7.7億円)のUSDコイン(USDCoin/USDC)を使用し、MANGOトークンの価格を約1,000%人為的に高騰させる価格操作を実行。この操作によって膨らんだ担保価値を利用し、プロトコルから1億1,700万ドル(当時のレートで約170億円)を不正に流出させた。
事件後、マンゴーマーケットのチームは盗まれた資金の返還を目指し、攻撃者と交渉を行い、バグ発見の報奨金を提示するなど対応に追われた。
SECとの和解とその影響
SECは、マンゴーマーケットが適切なセキュリティ対策を講じなかったことが投資家に重大なリスクをもたらしたとして調査を開始。
その結果、当NEXTMONEYの2024年9月30日付特集記事「米・SEC、未登録の仮想通貨販売でMango Markets(マンゴーマーケット)と和解」で報じているように、同プラットフォームはSECとの和解に合意し、罰金を支払うことで訴訟を回避した。
SECとの和解の一環として、ソラナ(Solana)ベースのDEX(Decentralized Exchanges:分散型取引所)であるマンゴーマーケットは、すべてのMNGOトークンを破棄するよう命じられた。
ガバナンス提案と事業縮小
マンゴーマーケットは、事業を縮小する計画を発表しており、ガバナンス提案では、23,347,212票が閉鎖を支持する形で全会一致で承認された。
シャットダウン提案が実行可能になった際、ユーザーがポジションを閉じる期限は2025年1月13日午後5時(日本時間)に設定され、Mango V4は貸出パラメータの変更を開始。この変更により、新規ポジションの参入障壁が大幅に引き上げられ、担保要件が10倍に増加している。
さらに、Xの投稿では、マンゴーマーケットがユーザーに対してポジションを閉じるよう通知したことが確認されており、声明によれば、Mango V4とBoostの縮小により、将来的に借入が経済的に実行不可能になると指摘されている。
Mango Markets will be shutting down
It is time for users to close their positionsMango v4 & Boost are winding down. Most borrowing on Mango will be economically unviable going forward
Proposals are live & become executable on January 13, Monday 8PM UTC
Details below⬇️
— Mango (@mangomarkets) January 11, 2025
マンゴーマーケットは閉鎖される
ユーザーはポジションを閉じる時期です
Mango v4とBoostは終了していますdown. Mangoでの借入のほとんどは、今後経済的に実行不可能になります
提案は1月13日月曜日午後8時(UTC)に公開され、実行可能になります。
規制の影響とコミュニティの反応
今回の業務停止の決定は、仮想通貨コミュニティに衝撃を与えており、多くの人々は、この動きを規制当局内の仮想通貨懐疑論者によるものと捉え、分散型取引所に対する監視の強化の一環とみている。
今回の事件は、DeFiプラットフォームが直面するセキュリティと規制の課題を浮き彫りにしており、SECの介入がDeFi市場に与える影響は大きく、他のプラットフォームも規制対応を強化する必要があるとみられる。また、ユーザー保護や資金管理に対する透明性の重要性が再認識されるきっかけにもなっている。アイゼンバーグ氏に対する法的手続きは2024年10月に開始され、詐欺と市場操作の罪で最長25年の懲役刑を受ける可能性がある。今回の閉鎖を支持するガバナンス投票が満場一致で行われたことは、コミュニティがプラットフォームの運命を受け入れていることの表れと言える。
マンゴーマーケットの閉鎖は、仮想通貨業界におけるセキュリティ向上と規制対応のバランスがいかに重要であるかを示しており、今後、DeFiエコシステム全体が透明性を高めるとともに、規制の変化に適応していく必要があるだろう。