Mブリッジプロジェクトはデジタル人民元の進歩を懸念
CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)国際決済システムであるMブリッジ(Mbridge)プロジェクトは、デジタル人民元が貿易決済においてより多くの国に流通し、米ドルの世界支配を少しずつ切り崩すのではないかとデジタル人民元の進歩を懸念している事が分かった。
同プロジェクトはCBDCを活用して数秒で価値を移動させる構造で、米国と欧州の観測筋は、その完成と実施によって起こり得る影響を懸念している。Mブリッジはまだ建設と試作段階にあるものの、複数関係者によると、大手メディアのブルームバーグは年末までに最低限の実用的な製品が完成する可能性があると報じている。
BIS(国際決済銀行)の参加を得て構築されているこのシステムにより、デジタル人民元は貿易決済通貨としての地位をさらに高め、世界の決済分野における米ドルの支配に対抗できるようになることが予想されている。IMF(国際通貨基金)ですらMブリッジの導入には懸念を表明。非公開情報筋がブルームバーグに語ったところによると、同機関は不定の国際機関の管理下に置く可能性について議論するための会議を開催したとされている。
CBDCをさらに一歩前進させる
専門家らは、Mブリッジが米国など、国が定めた制限や制裁を超えた支払いを可能にするため、伝統的な国際金融システムをひっくり返す可能性があると懸念している。
このシステムは独自ブロックチェーンベースのレールを使用し、国境を越えた支払いのための標準メッセージングシステムを提供するSWIFT(世界銀行間金融通信協会)などの組織に依存する制限を回避することになる。Mブリッジには中国、香港、タイ、UAEアラブ首長国連邦のみが含まれているが、これらの国が交換した商品の総額は2021年に5,640億ドル(約82兆円)にのぼっている。
タイ銀行の声明によると、Mブリッジは従来決済レールよりもはるかに優れており、数日ではなく数秒で決済を処理できるようになるという。また同銀行は、より多くの参加国があれば、エンドユーザーと商業銀行により多くの利益をもたらと述べており、プロジェクトにさらに多くの国を追加する可能性をほのめかしている。
欧米による制裁に直面しているロシアは、13の商業銀行が参加する独自CBDCであるデジタルルーブルのパイロットテストの開始へとかじ取りを進めている。ロシア銀行はまた、国境を越えた支払いと決済を完了するためにデジタルルーブルを他の友好国と統合することについても議論している真っ只中である。