イーサリアム財団、リーダーシップ交代に伴い開発チームを再編

イーサリアム財団のリーダーシップ交代と開発体制再編を象徴するイメージ

イーサリアム財団の新体制はスケーラビリティとUX強化を目指す

イーサリアム財団は、リーダーシップ交代に伴い開発チームの再編を実施した。

これにより、スケーラビリティの向上とユーザーエクスペリエンス(UX)の最適化を中心とした体制へと転換が進められている。今回の再編の中心は、旧「プロトコル研究開発(PR&D)」チームのリブランドである。「Protocol」チームとして再構成されたこのグループは、L1のスケーラビリティ強化、ロールアップのためのブロブスペース拡張、UX改善という3つの重点分野に取り組む。ゼロ知識ロールアップ(zkEVM)やレイヤー2技術の進展は、イーサリアムのさらなる普及に向けた重要な布石とみなされている。

人員再編と新リーダー体制の整備

チーム再構築に伴い、財団は一部スタッフの解雇も実施しており、影響を受けた人数は公表されていないが、元PR&Dチームの一部メンバーが退職し、よりスリムで集中した組織構造への移行が進められた。

長年貢献してきたティム・ベイコ(Tim Beiko)氏、アレックス・ストークス(Alex Stokes)氏、バーナベ・モノ(Barnabé Monnot)氏は、それぞれの専門分野に正式に配属された。

1月には共同創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏が、技術的専門性の強化と開発者とのコミュニケーション改善を目的とした新リーダーシップモデルの導入を発表。4月には取締役会と執行機能の分離が正式に決定され、シャオウェイ・ワン(Hsiao-Wei Wang)氏とトーマス・スタンチャク(Tomasz Stańczak)氏が新たに共同執行役に就任した。

この新体制では、取締役会が長期ビジョンを策定し、執行役が日々の運営を担うことで、より迅速かつ柔軟な意思決定が可能になるとされる。Protocolチームは、コア開発とネットワーク層に関わる業務の中核を担い、今後のプロトコル改善に向けた戦略的実装や技術的推進に注力するとされている。

仮想通貨市場での注目と期待の高まり

財団のこうした再編の動きを受け、仮想通貨市場ではイーサリアムへの資金流入が継続している。

CoinSharesのレポートによれば、直近1週間でイーサリアム関連投資商品への資金流入は3億2,100万ドル(約458.4億円)に達し、これは全体の純流入額を上回る水準となっている。ビットコイン(Bitcoin/BTC)への投資商品では800万ドル(約11.4億円)の資金流出が記録されており、イーサリアム(Ethereum/ETH)への注目度の高さが際立つ結果となった。

スケーラビリティやUXに対する取り組みは、イーサリアムの中長期的な成長を支える要素として市場でも前向きに受け止められている。一方で、レイオフの影響や進行中プロジェクトへの波及について懸念する声もあり、今後は一層の透明性と説明責任が求められる。

財団は、開発体制の最適化と価値観の共有を通じて、よりスケーラブルでユーザーに優しいネットワークの構築を進めていく方針を示している。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム