RobinhoodがBitstampを買収、グローバル仮想通貨戦略を本格始動

RobinhoodによるBitstampの買収を象徴するグローバルな仮想通貨展開イメージ

RobinhoodがBitstampを2億ドルで買収

米オンライン証券大手のRobinhood(ロビンフッド)は、欧州を拠点とする老舗仮想通貨取引所Bitstamp(ビットスタンプ)の買収を完了した。

取引額は2億ドル(約285.7億円)で、すべて現金によって支払われた。2024年6月に発表された合意内容に変更はなく、2025年6月2日付で正式に買収手続きが完了している。

Bitstampは2011年に設立され、ルクセンブルク、英国、スロベニア、シンガポール、米国に拠点を持つ。世界で最も歴史ある仮想通貨取引所の一つとして、50以上のライセンスと登録を取得しており、機関投資家を中心とした強固な顧客基盤を有している。今回の買収により、Robinhoodは米国中心だったサービスから、欧州、英国、アジア市場へと本格的に展開する体制を整えた。

信頼性の獲得と市場基盤の強化

Bitstampは、登録ユーザー数が400万人を超え、50以上の仮想通貨ペアに対応している。

5,000社以上の機関投資家と50,000社の個人投資家にサービスを提供し、その取引量の多くは機関投資家によって支えられている。堅牢なインフラと安定した注文処理により、長年にわたり高い信頼性を維持してきた。

Robinhoodの暗号資産部門ゼネラルマネージャー、ヨハン・ケルブラット(Johann Kerbrat)氏は「単なるリーチ拡大ではなく、Bitstampの信頼性と経験をエコシステムに取り入れることで競争力を強化する」と述べている。Bitstampが提供するレンディングやステーキングといったサービスも順次統合され、「Robinhood Legend」や「Smart Exchange Routing」との接続も進んでいる。

収益とグローバル拡張の加速

Bitstampは直近12カ月で9,500万ドル(約135.7億円)の収益を記録し、Robinhoodの仮想通貨事業は2025年第1四半期だけで2億5,200万ドル(約360億円)に達しており、今買収により、即戦力となる収益基盤と国際的な顧客ネットワークを獲得した。

2025年内にはBitstamp関連で約6,500万ドル(約92.8億円)の費用を計上する予定だが、国際市場での存在感を強める足掛かりとして位置づけられている。加えて、Robinhoodはカナダの仮想通貨プラットフォームWonderFiを約1億7,900万ドルで買収することにも合意しており、北米市場での拡張にも注力している。

トークン化と次なる戦略の焦点

Robinhoodのウラジミール・テネフ(Vladimir Tenev)CEO(最高経営責任者)は、今後の戦略として「資産のトークン化」に注目している。

第1四半期の決算説明会では、プライベートエクイティのトークン化が個人と企業に新たな可能性をもたらし、セカンダリー市場の課題解決にも寄与すると語った。テネフ氏は、OpenAIやSpaceXなどの非上場企業のトークン化株式を投資家が数分で購入できる未来にも触れ、「米国の仮想通貨業界において莫大(ばくだい)な経済的価値が解き放たれる」との見通しを示している。

今回のBitstamp買収は、こうした中長期的な戦略を支える土台となるものであり、Robinhoodが仮想通貨分野でのグローバルな展開を加速させる重要な転換点となった。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム