韓国はCBDC パイロットの最終候補地域を選定
韓国は現在、CBDC（中央銀行発行デジタル通貨）の分野での取り組みとして、デジタル通貨の分野で重要な進歩を遂げており、最新報告書で同国は、首都ソウルを除外してCBDC試験を先駆的に実施する可能性のある3つの地域を指定した事が分かった。
韓国の中央銀行にあたる韓国銀行は、デジタル版の自国通貨を発行・配布する計画を打ち出し、新たな領域を開拓。この動きは、各国通貨のデジタル化に向けた世界的な競争を前進させる一方で、国の金融セクターの力関係を変える可能性がある。現地メディアの報道によると、韓国銀行はCBDCの潜在的な試験地として済州島、釜山市、仁川市を最終候補に挙げているという。同銀行は7月31日（月曜日）にこの事実を明らかにし、にぎやかな大都市ソウルをリストから除外した事が明らかになった。
民間ターゲットCBDCテストベッドへの準備
今回の選択により、上記の3地域が同国の“民間ターゲットCBDCテストベッド”となるための準備が整う。
同報告書によると、韓国銀行は最終的にはパイロット段階で1つの地域を選択する予定だという。選択された地域では、CBDCを通じて支払いを処理できるフランチャイズを調達しながら、公共レベルの支払いと流通を実験していくと明かしたうえで、同銀行関係者は報告書の中で次のように述べている。
CBDCe-ウォレットウォレットは、その地域の住民だけでなく、観光客を含む多くの民間人も開設（使用）できるようになります。
地域通貨流通モデルの再現
韓国銀行によるCBDCの地域限定のテストは、韓国のさまざまな地域で実施されている現在の現地通貨制度と同様のモデルに従うことになる。
この地域通貨制度は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの中で基礎的な収入と財政援助の救済策として導入され、現在済州、釜山、仁川で使用されているもので、これらの地域は、「タムランジョン（耽蘭銭：Tamranjeon）」、「トンベクチョン（冬白銭：Dongbaekjeon）」、「インチョン e-ウム（仁川紙幣：Incheon e-Eum）」という独自地域通貨を発行し、配布。釜山市のタムランジョンは釜山銀行が、仁川市が発行したインチョンe-ウムはコナアイと農協銀行コンソーシアムが運営しているものだ。
韓国の商業銀行関係者によると、パイロットの選択は済州島に「大きく傾いていた」という。済州島は釜山市の対象となる国民の数が膨大で、韓国銀行にさまざまな面で負担をかけていると伝えられており、関係者は次のように述べている。
釜山の場合、対象となる国民の数が多すぎて韓国人にさまざまな負担がかかるため、人口の多い済州島に意見が大きく傾いている。現在、韓国銀行の内部問題により、最終候補の決定は一時延期されている。
韓国CBDC立ち上げの障壁
同報告書は、既存の現地通貨とは異なり、CBDCシステムには克服すべき多くの技術的障壁があることも明らかにしている。
韓国銀行は2022年、CBDCシステムの決済性能を約6カ月間テストしたが、処理速度の点で国内の大手小口決済事業者に劣ることが判明。IT業界関係者は、韓国銀行が近々大規模な小売決済システムプロジェクトを計画しており、非常に多くのIT人材が必要となっている。大企業をはじめ、多くの関連人材が必要だと述べている。
さらに、韓国のデジタル市場が最近直面している最大の問題の1つであるのが、犯罪行為の急増だ。これに対抗するため、当NEXTMONEYの2023年7月31日付特集記事「韓国の仮想通貨取引所トップ5による違法行為抑制するコンプライアンス戦略」で報じたように、韓国政府は複数省庁による捜査部隊の立ち上げを発表している。
