Binanceがインドネシア財閥と仮想通貨ベンチャー設立へ
世界最大の仮想通貨取引所であるBinanceは、インドネシアで最も裕福なハルトノ(Hartono)兄弟(※1)と協力し、仮想通貨ベンチャーを設立することを計画していることが明らかになった。
インドネシアで好まれているたばこ「Djarum(ジャルム)」の創業家兄弟で、会長である兄、マイケル・バンバン・ハルトノ(Michael Bambang Hartono)氏、CEO(最高経営責任者)である弟のロバート・ブディ・ハルトノ(Robert Budi Hartono)氏のこと。Djarumは現在、事業の多角化に成功し、ホテル・不動産事業、エレクトロニクス事業、銀行業、パーム農園事業などを展開するインドネシアのトップ財閥を率いている。
12月10日(金曜日)のブルームバーグの報道によると、Binanceは現在、インドネシアでのプレゼンスを確立することにより、グローバルリーチを拡大しようとしているという。この仮想通貨ベンチャーにより、これまで金融サービスを利用できなかった多くの住民が金融サービスに参加できるとみられている。インドネシアは膨大な数の人口にもかかわらず、多くの国民は銀行を利用できておらず、他の基本的な形態の金融へのアクセスがほとんどないのが現状だ。
巨大人口を抱えるインドネシア市場に目を向けるBinance
Binanceの見積もりによると、インドネシアで仮想通貨ベンチャーを設立することができれば、約2億7,300万人の人口からの仮想通貨流入を期待でき、インドネシアでのより広範なデジタル資産の採用を促進することに期待している。
ここ数カ月、Binanceは多くの国の規制当局の規制に直面しており、Binanceのジャオ・チャンポン(Changpeng Zhao:趙長鵬)CEO(最高経営責任者)は、企業構造を変更し、本社や国境のない分散型プラットフォームとして機能しなくなると述べている。NEXTMONEYの特集記事「大手仮想通貨取引所Binanceがアイルランドにグローバル本社を設立か」や「フランス規制当局:パリ本社設置前にBinanceにAMLコンプライアンス改善を要求」で報じているように、Binanceはアイルランドやフランスなど、グローバルな拠点を設立できるいくつかの国との関係を持っており、今回のインドネシアでの活動もこれらの一環であると考えられる。さらに興味深いことに、ジャオCEOは、「Binanceは、現地の規制問題にもかかわらず英国ライセンスを申請」で報じたように、英国でFCA(金融行動監視機構)の免許を申請することさえあることも明らかにしている。
一方で、インドネシア政府は、民間の仮想通貨に対しては寛容な立場をとっているわけではなく、中央銀行は、民間の仮想通貨と戦う方法として、「インドネシア中央銀行は民間仮想通貨と戦う:CBDCデジタルルピアの使用を宣言」で報じたように、CBDC(中央銀行発行デジタル通貨)の発行する可能性を示唆。これについてインドネシア政府は、CBDCは当局によって監視できるが、民間のデジタル資産はそれらを管理できないため、国の金融ネットワークに害を及ぼす可能性があると説明した。また、インドネシアのトップイスラム学者団体であるMUI (NationalUlema Council)も、11月12日付のNEXTMONEY特集記事「インドネシアの宗教評議会は仮想通貨をハラーム宣言し、その使用を禁止へ」で報じたように、仮想通貨に反対の姿勢を示しており、少し前までは、仮想通貨業界内のすべての活動をイスラム教の義務規定で禁忌を意味する、ハラームとラベル付けしていたことも明らかになっている。