インドネシア中央銀行はデジタルルピアの使用を宣言
インドネシア中央銀行は、ビットコインやその他の民間デジタル資産(仮想通貨)と戦うため、CBDC(中央銀行の発行するデジタル通貨)デジタルルピアを使用すると宣言している事が分かった。
インドネシアは、CBDCが民間のデジタル資産よりも信頼できると信じている。ただし、同中央銀行は以前もデジタルルピアについて同様の宣言をしていたが、2021年にCBDCを立ち上げることはできなかった。インドネシア中央銀行のペリー・ワルジヨ(Perry Warjiyo)総裁は2021年5月、NEXTMONEYの特集記事「インドネシアの中央銀行がデジタルルピアでデジタル通貨競争に突入へ」で報じているように、具体的な発足日は明かさずにCBDCプロジェクトについて進行中と述べている。
ワルジヨ総裁は、コロナパンデミックの間、インドネシア国民らが急速に現金からデジタル決済に切り替えたことを強調。そのため、当局によって監視および管理されているCBDCは、その金融移行のための最良の選択肢であると述べている。ブルームバーグの最新報道によると、デジタルルピアはインドネシアの金融ネットワークに重大な影響を与える仮想通貨と戦うために使用されるだろうと述べた。インドネシア中央銀行ジュダ・アグン(Juda Agung)副総裁は、CBDCはビットコイン(Bitcoin/BTC)、イーサリアム(Ethereum/ETH)、その他のプライベートデジタル資産よりも信頼性の高いオプションであると語った。
インドネシアでは仮想通貨投資家の数が急増しており、政府は2021年末までに専用デジタル資産取引所を作成すると公言。その背景には、国内に700万人以上の仮想通貨投資家がおり、取引額が300億ドル(約3兆4,000億円)に達する事が大きな要因とみられる。また、新しいもの好きなインドネシアの国民性は急速なスピードで進んでおり、公共バスやスーパーのレジなどでも携帯を片手に決済をサッと済ませる人が急増中である。
仮想通貨に対する厳格なイスラム法に沿った「ハラーム」宣言
当NEXTMONEYの11月12日付の特集記事「インドネシアの宗教評議会は仮想通貨をハラーム宣言し、その使用を禁止へ」で報じたように、仮想通貨に対する厳格なイスラム法に沿った「ハラーム」宣言をインドネシアイスラム学者団体のMUI(National Ulema Council=インドネシアウラマー評議会)が、仮想通貨業界での活動を「ハラーム」と宣言し、実質上の禁止宣言が発布されている。
これはビットコインとアルトコインが「不確実性、賭け、そして害」に満ちているためだと明かしたが、一方でMUIのファトワ委員会委員長であるアスロルン・ニアム・ソレ(Asrorun Niam Soleh)氏は、デジタル資産がシャリーア法に従い、「明確な利益」を示せば、商品として取引できると説明している。インドネシアは世界で最もイスラム教徒が占める国として知られており、イスラム法による解釈次第では仮想通貨市場が明にも暗にもなるため、市場関係者もインドネシアだけでなく、イスラム系国会の動向を注視している。