仮想通貨の現物取引高は過去最低水準
3月における仮想通貨の現物取引高が、2017年4月以降の最低額を記録したことがTradeBlock※の調査により明らかとなった。
※TradeBlockは米ニューヨークに拠点を置く仮想通貨関連企業。毎週の仮想通貨市場観測結果なども公開されている。
同社の調査結果によれば、3月の仮想通貨の現物取引高は、約20億ドル程度と過去最低水準を記録しているようだ。取引高が300億ドルを超えて過去最高となった2017年12月と比較すると、約1/15程度とその規模は大幅に減少している。
また、この調査結果で示されているデータからは、2018年10月から11月半ばにかけて一時的に取引高の上昇傾向が見られたものの、それ以降では持続的な減少傾向にある様子が伺える。
取引高が顕著な上昇傾向を見せ始めた2017年4月の取引高は約8億ドル程度であり、それと比較すれば、「過去最低記録」とはなっていないようだが、「過去最低水準」となっていることは間違いない。
仮想通貨取引所の取引手数料や上場されている通貨数は上昇傾向
同調査結果によると、取引高が持続的な減少を見せる中、仮想通貨取引所の取引手数料は上昇傾向にあり、上場されている通貨数もまた増加している傾向にあるという。
取引手数料は、仮想通貨取引所の収益構造の中でも大きな柱である考えられている。取引高が減少する中では、取引手数料の上昇は自然な流れと言えるのかもしれない。
また、仮想通貨取引所に上場されている通貨数の増加は、多岐にわたる仮想通貨の種類と、それに伴い多様化する顧客ニーズに対処する一つの方針としては、理にかなっているように思える。
仮想通貨市場の現状
仮想通貨市場の低迷期とも言われた2018年、仮想通貨価格は軒並み下落した。
今年4月2日には、ビットコインの急激な価格上昇が確認されたが、それもアルゴリズム取引による影響との見解が多くみられる。仮想通貨に対する市場の期待感により生じる価格上昇でなければ、健全な取引高の上昇もあまり期待はできない。
一方で、クオンツファンドなど機関投資家の仮想通貨市場参入が活発になっているという明るい一報もある。
また、過去そうであったように、「仮想通貨」に関して新たな進展が報じられれば、市場の注目を一気に集め、急激な取引高の増加、価格の上昇が短期間で達成される可能性も残されている。
キャッシュレス化の流れの中で急激に認知度を高めた仮想通貨だが、まだ実用性という点については明確になっていないというのが現状だろう。そして、実用的な決済手段として用いられるためには、取引高の増加、つまりは流動性の高まりは必要不可欠な要素となる。
仮想通貨の取引高の現状は、仮想通貨の実用性を考える上で避けては通れない重要な課題と言えるだろう。