Coinbase(コインベース)がIPO公募開始か
米カリフォルニアに本拠を構える大手仮想通貨取引所Coinbase(コインベース)が、SEC(Securities and Exchange Commission=証券取引委員会)にIPO用の登録草案を内密に提出していたことが分かった。
2020年12月17日、コインベースはブログ「Coinbase announces confidential submission of draft registration statement (コインベースが登録届出書草案の機密提出を発表)」の中で発表。同社によってフォームS-1の登録届出書草案をSECに提出したと述べた。なお、フォームS-1は、SECが声明を検討し、承認した後に公開される。
フォームS-1は、SECが審査プロセスを完了した後、市場およびその他の条件に応じて有効になると予想されます。
IPO(Initial Public Offering=新規公開仮想通貨販売)計画は、今年7月にさかのぼる。Coinbase Inc.は、ロイターのレポートを引用し、今年後半または2021年初頭に米国株式市場の上場を計画していることを明らかにしていた。ただし、コインベース側がどの証券取引所をターゲットにしているのかについて、現時点では明確ではない。
仮想通貨マイナーとビットコイン持ち株会社はすでに市場に上場しているが、コインベースの公募は、一部の個人投資家と仮想通貨関連企業にとっては初めての公募となる。仮想通貨取引所の仕組みとけん引力や、構築され続けている仮想通貨インフラストラクチャーの中心に新たな光を当てるものとみられている。
IPO申請というコインベース社の決定は、2017年以降、エコシステムへ資金を注入している同社にとって、重要なポイントでもある。ビットコイン価格が新記録を更新し続けている今、機関投資家が仮想通貨投資とエコシステムへと目を向け始めた今、外せない要素であると言える。
コインベースの経営状況
ブルームバーグによる過去の報告によると、2016年度コインベース社収益は1,700万ドルで、仮想通貨の価格の高騰を背景に、翌年末までに9億2300万ドルに膨れ上がっていた経験を持つ。しかし、その後の仮想通貨の冬が到来し、市場の低迷は、コインベースの収益と運用に影響を及ぼした。2018年には30人の従業員を解雇した事が公になったほか、シカゴオフィスが閉鎖されたと推定されているほどの打撃を受けている。ビットコインの長期にわたる低迷は、2019年のレイオフ(一時解雇)を増加させ、同社の英国部門は、2019年の利益が前年から22.5%急落したと報告されている。
コインベース社は今年も削減が続いている。NEXTMONEY「コインベース、会社の方向転換に同意しない従業員に退職金提供を呼びかけ」でも特集したように、今年9月、従業員に退職手当を提供し、従業員の5%が受け取ったと報告されている。しかし、どのような苦境に立ち、激動の仮想通貨市場と不確実な規制の圧力にもかかわらず、Coinbaseは2017年以来利益を上げ続けている。今回のIPO草案提出が、現実となった時、同社がどれだけ躍進しつづけていくのか楽しみである。