シンガポールでブロックチェーン研究に多額投資
2020年12月7日、シンガポールのESG(Enterprise Singapore)、IMDA(Infocomm Media Development Authority)、NRF(National Research Foundation Singapore)、MAS(シンガポール金融管理局)は、国のブロックチェーンエコシステムを強化するための新プロジェクト『Singapore Blockchain Innovation Programme(シンガポールブロックチェーンイノベーションプログラム)』を立ち上げたことを発表した。同プロジェクトに対してシンガポール政府は、計1200万SGD(約9.3億円)を投資するとのことだ。
シンガポールブロックチェーンイノベーションプログラムは、実際のブロックチェーンアプリケーションの研究や開発のほか、商品化や採用を促進していく。このイニシアチブでは、貿易、ロジスティクス(※物の流れを顧客のニーズ合わせて効率的な形で計画・実行・ 管理すること)、サプライチェーン(※製造から消費までの流れ)から始まるセクターで、今後3年以内に17のブロックチェーンプロジェクトを概念化するために約75社が関与していく。
現時点ですでに貿易技術会社Dimutoと協力し、生鮮食品を追跡するためにブロックチェーン技術を使用して、農家分野における信用力を向上させている。このプログラムは、シンガポール国立大学が主催し、国立研究財団が資金を提供し、エンタープライズシンガポール、情報通信開発庁、およびシンガポール金融管理局が支援しているプロジェクトだ。エンタープライズのピーター・オン(Peter Ong)会長は、次のように述べている。
パンデミックは、企業や業界全体でさえも変化しなければならないことを示しています。この変化をサポートするデジタルソリューションの需要が急増しているため、安全で信頼できる取引方法の必要性が高まっています。ブロックチェーンテクノロジーは、ロジスティクスとサプライチェーンにまたがるアプリケーション、デジタルIDと資格情報への貿易金融に信頼を組み込むのに役立ちます。
ブロックチェーンテクノロジーは、分散化を可能にするため、企業にとってデータの不変性を高められるほか、セキュリティと透明性を高めるなど、複数のメリットがもたらされる。
NRFによって資金提供されたシンガポール全体に渡るこの取り組みは75社近くの多国籍企業、大企業、ICT企業を含む70社以上と進められていく計画だで、SBIPはブロックチェーンの成長も検討するとのこと。
単なる財政を超え、業界の人材とノウハウのレベルアップが含まれており、これら努力によって、シンガポールが強力なブロックチェーンエコシステムを構築し、トラストハブを目指していくという。