中国国営企業がブロックチェーン技術を利用した石油の輸出を完了
中国営多国籍複合企業シノケム(中国中化集団:Sinochem Group)社の子会社である中国のシノケム・エナジー・テクノロジー(中化能源)社は、ブロックチェーン技術を利用して中国の泉州市からシンガポールへのガソリンの輸出を完了した事が分かった。
シノケムによると、商品取引プロセスの主要な参加者全員にブロックチェーンアプリケーションが適用されたのは初めてとのこと。しかし同社は、最初のブロックチェーン出荷は2017年12月に行われており、当時、中東から原油を輸入している。同社は、デジタル船荷証券とスマートコントラクトによって財務コストが20%~30%節約できると主張。
ペーパーレス貿易の文書のセキュリティと認証の保証が長年の課題
ペーパーレス貿易は数十年にわたって行われてきたが、文書のセキュリティと認証の保証は依然として大きな課題の一部となっているのが現状だ。
仮想通貨を可能にする技術であるブロックチェーンは、改ざんが不可能と言われている分散型ネットワークである。ブロックチェーンテクノロジーは分散台帳を使用し、デジタル資産のリアルタイムトランザクションを可能にする。このテクノロジーは、利害関係者がサプライチェーンを追跡し、商品の産地と品質を検証できるようにすることで、物理的な商品取引にプラスの影響を与え、プロセス全体をより合理化かつスマートにした。
ただし、ブロックチェーン技術を採用しているのは中国のエネルギー部門だけではなく、2019年には米国の十数社の石油・ガス会社が集まり、Blockchain for Energyの石油・ガスコンソーシアムを設立。現在、Blockchain For Energy には、サウジアラムコ、アメリカ石油協会、エクソンモービルコーポレーション、シェブロンコーポレーション、コノコフィリップスといった石油とガスの有力企業を含む15社が参加。同コンソーシアムはミッションステートメントの中で、石油・ガス業界に深刻な混乱をもたらすと示唆している。