米食品医薬品局が、食品安全保障のためにブロックチェーンを検討
FDA(Food and Drug Administration:米国食品医薬品局)が、よりスマートな食糧安全保障に役立つブロックチェーン技術について研究することを発表した。FDAは、食品安全の将来の展望とパイロット研究(消費者研究調査)を発表し、浮上したいくつかの課題点に有効と思われる実行可能なオプションとしてブロックチェーンの導入を強調している。
今週初め発表された研究報告書は、食糧革命の真っ只中にいる今、アメリカ国内における食品流通が現在直面しているいくつかの課題を分析。人工知能、ロボット、高度なデータ処理技術などのスマートテクノロジーがそれらをどのように解決できるかを考察。今回発表された『New Era for Smarter Food Safety Blueprint』では、FDAが今後10年間でよりスマートな食品安全の新時代の到来を告げるために採用するアプローチの概要を示している。
例えば、食品を数秒でその出所までたどることができるフレームワークの構想や、新しいデータ分析技術を利用して食品由来の病気の予防を強化し、汚染された食品や誤ったブランドの食品が消費される前にリアルタイムで消費者に警告するなどが紹介されている。
食品業界や公衆衛生面に携わる人員および政府が協力し、食品供給の安全を維持できるようにする骨組みをFDAでは想定している。
具体的な内容として言及されているテクノロジーについては、人工知能やIoT(モノのインターネット)、センサーテクノロジー、ブロックチェーンが含まれている。これらのテクノロジーに対応したトレーサビリティ(※1)、予防と発生の対応、小売りの近代化、食品の安全と文化という4つのトピックに関連して考察している。
(※1)トレサビリティとは、食品の生産から流通過程が追跡可能であることに加え、生産・流通の履歴を正確に記録・管理するシステムのことを指す。
食品の誕生から消費者の手に渡るまで
これまでもアメリカの食品業界ではブロックチェーンが導入された事例があり、IBMとウォルマートが連携し、FoodTrustプログラムを展開。同プログラムにより、農業と海運業界にもブロックチェーン技術もたらしている。
アメリカの多くの主要小売大手にサービスを提供するブロックチェーンでは、食品の情報と認証を記録。消費者がスマートフォンなどの端末から商品データにアクセスするだけでどの食品がどこでどのように食品として完成し、どのような経路で店頭に並んだかといった、いわば食品の誕生から消費者の手に渡るまでの情報が瞬時に分かるようになっている。このような環境が揃うことで、認証の保管や製品のリコールなどの問題を軽減している。