日本を含む7ヶ国が、暗号化されたデータへの政府のアクセスを要求

日本を含む7ヶ国が、暗号化されたデータへの政府のアクセスを要求

オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、米国を代表する政府高官を含む、日本とインドは12日、エンドツーエンド暗号化の危険性を説明し、法執行を目的としたバックドアの導入をハイテク・IT企業に要請する書簡に署名したことが分かった。

バックドアに関する署名を行った7つの国は、政府が傍受することができないメッセージのプライベートチャットおよび送信を可能にするエンドツーエンド暗号化に対して、「性的搾取された子供など、公共の安全にとって大きな危険があると考えている」と説明された。これは、政府がテロリストや犯罪者などが暗号化メッセージを使用することを懸念しているとする内容である。

書簡には、英国内務省プリティ・パテル内務大臣、米国のウィリアム・バー司法長官、オーストラリアのピーター・ダットン内務大臣、ニュージーランドのアンドリュー・リトル法務大臣、カナダのビル・ブレア国境安全・組織犯罪減少相および、インドと日本の政府が署名しているが、インドと日本の代表署名者は明記されていない。

今回の署名については、テクノロジーおよびIT企業に対し、企業が自社プラットフォームを通過するデータ(メッセージアプリの会話など)を閲覧するためのバックドアを作成すること。また必要かつ適切な場合には法執行機関が、それらのデータにアクセスできるようにすること。さらには政府と協力してバックドアの設計を行うことが記されている。

  • 企業の自社プラットフォームを通過するデータを閲覧するためのバックドア作成
  • 法執行機関が、それらのデータにアクセスできるようにすること
  • 政府と協力してバックドアぼ設計を行うこと

要するに、匿名の暗号化されたメッセージを政府が閲覧することができるように要請し、それらのデータを政府がアクセスできるように要請するという内容だ。またアクセスを容易にするためにバックドアと呼ばれる裏口からアクセスできるシステムの導入を政府と協力して設計するというものだ。

テレグラムやシグナルは犯罪者・テロリストの温床

また書簡によると、Telegram(テレグラム)やSignal(シグナル)などの匿名チャットアプリに力を与えているエンドツーエンドの暗号化技術は、企業が「児童の性的搾取や虐待、暴力犯罪、テロリストのプロパガンダや攻撃計画を含む、プラットフォーム上の深刻な違法コンテンツや活動」を取り締まることを難しくしているという。

実際にメッセンジャーアプリTelegramは、ISISなどのテロリスト集団のお気に入りアプリであり、メッセージの公開によって、米国の行方不明・搾取児童センターは昨年10月、児童搾取の報告の半分以上が “消滅する “と主張している反面、メッセージ内容の公開は、公共のプライバシーを侵害する可能性がある。

これまで政府は、児童虐待やテロリズムの原因になっていると指摘し、エンドツーエンド暗号化の危険性を概説している。英国、米国、オーストラリアは昨年10月、フェイスブックのCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏に宛てた公開書簡の中で、同様の内容を問題視していると主張しているが、フェイスブックやアップル、その他多くのテック企業は、自社サービスにバックドアを導入することに対して、「善人だけが使用できるバックドアはない」として、その要求を拒否し続けている。

善人だけが利用できるバックドアというものは存在しない、というのが我々の変わらぬ主張だ。もし、バックドアを設ければ、何者かに悪用される。国家の安全が脅かされ、個人情報も危険にさらされる 。