IMF、世界銀行、G20諸国が中央銀行デジタル通貨のルール策定

IMF、世界銀行、G20諸国が中央銀行デジタル通貨のルール策定

国際金融当局と世界最大の経済大国20カ国は、主権を持つデジタル通貨を規制し、発行するための公式基準を策定していることを明らかにした。

19カ国と欧州連合(EU)の政府と中央銀行総裁が参加する国際フォーラム「グループ・オブ・トゥエンティ(G20)」は13日、国際通貨基金(IMF)、世界銀行、国際決済銀行(BIS)と協力して、銀行システムにおける中央銀行デジタル通貨(CBDC)の利用を正式化するための作業を進めているとするレポートを発表した。

発表された新しい報告書によると、2022年末までに、G20メンバー、IMF、世界銀行、国際決済銀行(BIS)は、安定コインの規制フレームワークとCBDCのデザイン、技術、実験の研究・選定を完了するとしている。

国際的なステーブルコインの取り決めを検討

2008年の金融危機後に結成されたG20金融安定理事会(FSB)は、各国は、金融と金融の安定に対するリスクをコントロールするための最低限の監督・規制基準に妥協することなく、国境を越えた決済が直面する課題に対処するために、「新たな多国間プラットフォーム、世界的な安定コインの取り決め、中央銀行のデジタル通貨の適用範囲を検討する」と発表した。

ステーブルコインは、米ドルなどの物理通貨や貴金属などと連動する仮想通貨として有名だが、IMFと世界銀行は2025年末までに各国間のCBDC取引を今後、促進するための技術的能力を持つことになるという。

またステーブルコインに関するG20ロードマップは先週、7つの中央銀行とBISの共同グループが発表した報告書に続くもので、国有化されたデジタル通貨をめぐる多国間の戦線を描いたものだ。これは米国連邦準備制度理事会(FRB)、カナダ銀行、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)、スイス国立銀行、スウェーデンのスベリゲス・リクスバンク、日本銀行によって報告されたレポートは、中央銀行が各国のCBDCに求めるであろう特性の概要が示されている。

北米、欧州、日本銀行は、「CBDCは既存の貨幣形態との互換性が必要であり、コストをほとんどかけずに多くの支払い形態で使いやすいという点で現金に似ている」と述べた。また、CBDCシステムは、レガシー金融技術に接続し、24時間体制で大量の取引を瞬時に決済し、サイバー攻撃や停電の影響を受けにくく、すでに流通している貨幣に適用され、中央銀行の権限を保持している規制や監視に準拠しなければならないとのことだ。

CBDCは国境を越えた支払いを改善し、フェイスブックのLibraのような企業のデジタル通貨に対抗し、コロナウイルスのパンデミックの間、緊急資金の支払いを消費者に転送することができるが、「CBDCは匿名で自走するものではなく、分散型台帳技術(ブロックチェーン)を借用している仮想通貨とは異なる」と報告書では述べられている。

ビットコイン取引はブロックチェーンネットワーク上で実行され、中央機関からの個人情報は隠蔽、サイロ化されるが、中央銀行はCBDCの決済や、アイデンティティへのアクセスと可視性を維持する。

今月、ECBと日銀はCBDCの発行を検討しており、ECBの報告書によると、デジタルユーロの発行決定は2021年4月に発表されるという。また日銀関係者は、デジタル円の実証実験の第一段階が、来年春から始まると述べており、最も広範囲に試行されている中国人民銀行のデジタル人民元に対抗するための協調努力を求めている。

中国深セン市、約3,200円相当の「デジタル人民元を配布」で実証実験を開始

2020.10.12