7つの中央銀行とBISが、デジタル通貨に関するレポートを公開
7つの中央銀行と国際決済銀行(BIS)によって設立された共同グループは、デジタル通貨の設計方法などに関するレポートを発表した。
発表された「Central bank digital currencies:foundational principles and core features/中央銀行デジタル通貨:基本原則とコア機能」と題された26ページにも渡るレポートによると、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する概要が示されており、中央銀行の共同政策目標に貢献するためにCBDCが必要とするであろう「共通原則と主要な機能」について概説している。
この共同グループは今年1月に設立され、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、連邦準備制度理事会、スウェーデン・リクスバンク、スイス国民銀行の7つの中央銀行と、国際決済銀行(BIS)が協力し、電子マネーや中央銀行デジタル通貨(CBDC)の潜在的な可能性を調査している。
レポートによると、決済における現金の使用は減少傾向にあり、デジタル決済は非常に大きな成長を遂げているという。そのため、各中央銀行とBISは、実生活におけるデジタル化の進展に伴い、中央銀行が安全な決済手段を提供し続けるために、CBDC が「重要な手段」になり得ると考えているようだ。
欧州中央銀行のクリスティーヌ・ラガルド(Christine Lagarde)総裁も本日、BISの公式サイトにて共同グループのデジタル通貨促進について、次のように述べている。
テクノロジーが私たちの支払い方法を変えつつある中、中央銀行には、私たちのお金に対する人々の信頼を守る義務があります。中央銀行は、信頼できる原則を特定し、イノベーションを促進するために、中央銀行のデジタル通貨の探索を指導するために、緊密な協力によって国内の努力を補完しなければなりません。今回の報告書は、この国際的な協力を証明するものです。
またレポートでは、CBDCが持つべき3つの原則について、1)中央銀行はCBDCを発行することで金融や金融安定性を損なうべきではない。2)CBDCは既存の貨幣形態と共存・保管する必要がある。3)CBDCはイノベーションと効率性を促進すべきである。と強調している。
BIS公式レポートより画像引用
さらにCBDCの中核的な機能について、「使いやすさ・低コスト・兌換性・継続的可能性」を挙げており、イングランド銀行の副総裁であるジョン・カンリフ氏は、「この報告書は、共通の原則に合意し、実行可能なCBDCシステムに必要と思われる主要な機能を特定するという点で、この中央銀行グループにとって真の前進である」と発言。次のように続けた。
この中央銀行のグループは強力な国際的コンセンサスを構築しており、我々がそれぞれの国の管轄区域でCBDCのケースと設計を模索する際の道しるべとなるだろう。
また本日、日本銀行も同様に、決済システム全体の安全性と効率性を確保する観点として、個人や企業など幅広い利用を想定したCBDCへの取り組み方針を発表している。