仮想通貨取引所OKExがETC上場廃止を検討
OKExは、イーサリアムクラシック(Ethereum Classic/ETC)に対して最近受けた2度に渡る51%攻撃で、約560万ドル(約6億円)の損失が確認され、OKExでは取引所からETCの上場を取り消すことを視野に検討を始めていることが分かった。ETCの取引量が最も多い仮想通貨取引所でもあるOKExは、取引からETCの削除を決断することは決して容易な決定ではなく、万が一上場廃止に至った場合、苦渋の決断であることがうかがえる。
OKExの最高経営責任者であるジェイ・ハオ(Jay Hao)氏は、ETCの人気と地位を考えれば、上場廃止を急いでいないと17日(月曜)にメディアに対してコメントを寄せている。マルタ諸島に拠点を構える仮想通貨取引所OKExにより、先週土曜日に発表された報告書によると、ユーザー保護ポリシーの一環として、失われたすべてのETCを顧客に全額払い戻している。51%攻撃についてHao氏は、次にように述べている。
私たちは分散型取引所に対する51%攻撃を防ぐことは不可能であることを知っていますが、攻撃に対し、ETCのセキュリティ脆弱性の法案を踏み出したくはありません。
継続的な脆弱性
イーサリアムクラシックに対する51%攻撃は、8月1日に初回の攻撃が発生し、計で560万ドル相当のETCが二重支出され、2回目の攻撃はわずか5日後に発覚。2度目の被害額では約168万ドルが失われ、イーサリアムクラシックは2度の攻撃によって、計7億7,000万円相当のETCが失われた事をすでに公表している。
ブロックチェーンに対する51%攻撃とは、1人以上のマイナーがネットワークのマイニングパワーの半分以上を制御しようとする状況を指している。
OKExの報告書によると、ハッシュレートがはるかに高いビットコインなどのブロックチェーンと比較して、イーサリアムクラシックなどのハッシュレートが低いブロックチェーンは、このタイプの攻撃に対して「より脆弱」だと言われている。そのため、ブロックチェーンの安全な機能におけるこの攻撃は、グローバルハッシュパワーが低い作業証明の一つであるPoW(Proof of Work)ブロックチェーンの一般的な問題が原因であったことは明らかだと述べている。
流動性がOKExをターゲットにした決め手だった!?
取引所の報告によると、攻撃者がOKExを選択した理由について、ETCを購入して取引するためにOKExを選択した最大の理由は流動性だと取引所はコメントしている。
OKExは優れたETC流動性を提供し、業界で最大のETC取引量を見ている。これは、攻撃者がOKExで比較的簡単かつ迅速に大量のETCを取引できると計算していたことを意味しているとコメントすると同時に、他の取引所と同様に、OKExは将来的にETC預金と引き出しの確認時間を増やすと述べている。
イーサリアムクラシックは、攻撃後も問題が残されたまま今現在も取引が活発に行われており、「現在のところ、51%攻撃は低額の仮想通貨にとって現実的である」と、ETC Coopのエグゼクティブディレクターであるボブ・サマーウィル(Bob Summerwill)氏はコメントしている。異なるハッシュアルゴリズムへの緊急ハードフォークなどのオプションは、将来の攻撃を回避するのに役立つ可能性があるとみられている。
さらにOKExでは、取引所が仮想通貨を保有するホットウォレットシステムを明らかにしており、ホットウォレットシステムへの入金と引き出しのプロセスをより透明にしている。OKExによる報告書に記載されているグラフによると、OKExの95%の資金がコールドウォレットに保存され、約5%の資金がオンラインとセミオフラインの両方のリスク管理システムを展開しているホットウォレットシステムに保存されているとのこと。
ハオ氏は、この攻撃はOKExにとって教育的なものであり、堅牢なホットウォレットシステムが設計どおりに機能することを学んだが、それを改善するいくつかの方法を見つけ、これに取り組んでいるとコメントしている。
記事参照:CoinDesk