日本銀行、「デジタル通貨グループ」を設立|CBDCの実証・研究を加速
日本銀行は20日、中央銀行デジタル通貨(CBDC)に関する実証や検討を一段階進めることを目的に、決済機構局内に「デジタル通貨グループ」を設立することがロイターの報道で明らかとなった。報道によると新設されるグループは、研究チームを改組し組織上の位置付けも明確にされている。
研究グループの人員は10人程度と大きな変更はされていないものの、デジタル通貨に関する専任者を置くことによって決済システムやそれらに関するデジタル化やCBDCの特性について検証や実証を進めていくようだ。またこの約10名の職員がいる決済システム課の「デジタル通貨グループ」は、課長の奥野昭夫氏がグループ長に就任している。
日本銀行は今年1月、電子マネーや中央銀行デジタル通貨(CBDC)の潜在的な可能性を調査することを目的に、日本銀行をはじめ、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、スウェーデン・リクスバンク、スイス国民銀行、国際決済銀行(BIS)が参加する共同研究グループを立ち上げている。これらの中央銀行らは、CBDCの活用可能性の評価に関する知見を共有するために、グループを設立がされている。
また国内の民間部門では、みずほ銀行、MUFG銀行、三井住友銀行という3つのメガバンクと、JR東日本、KDDIなどの大手企業らが、電子マネーやデジタル通貨を研究するコンソーシアムを設立している。
しかしその一方で、2月27日の講演で雨宮正佳副総裁が、「現時点では、国民の中央銀行通貨へのアクセス確保のために、新しい措置を講じなければならない状況ではない」と発言しており、具体的かつ決定的なCBDCに関する発言は控えられている状況だ。また黒田東彦総裁は6月11日の参院予算委員会にて、「日銀として直ちに発行する予定はない」と発言し、続けて「十分にフォローし、適切な対応をする準備をしておく必要がある」と答弁しているという。
だがこの発言から一転し、日本銀行ではなく日本政府が中央銀行デジタル通貨(CBDC)を検討していることを公式に掲げることが明らかになった。これはデジタル日本円に関する詳細は、近く閣議決定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込まれる予定であり、日本の中央銀行デジタル通貨検討の大きな一歩になるのではないかと期待されている。