日本政府、デジタル通貨検討を公式に掲げる方針|骨太方針へ明記=日経報道

日本政府、デジタル通貨検討を公式に掲げる方針|骨太方針へ明記=日経報道

日本政府が中央銀行デジタル通貨(CBDC)を検討していることを公式に掲げることが明らかになった。日経新聞の報道によるとデジタル日本円に関する詳細は、近く閣議決定する経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)に盛り込まれるようだ。

日本銀行は今年1月、6つの主要な中央銀行と協力して電子マネーやCBDCの潜在的な可能性を調査することを目的とした共同研究を行うグループを立ち上げている。このグループは日本銀行はもちろん、カナダ銀行、イングランド銀行、欧州中央銀行、スウェーデン・リクスバンク、スイス国民銀行、国際決済銀行(BIS)が参加しており、「CBDCの活用可能性の評価に関する知見を共有」するためにグループが設立されていた。

また最近、日本銀行はCBDCの実現可能を目的とするレポートを公開。公開されたレポートではデジタル通貨の課題解決に向けた実証実験を行うことが記されていた。

今回の日経新聞によると骨太方針には、CBDCの技術的な調査を目的に実証実験が開始されると紹介した上で「各国と連携しつつ検討する」と明記され、経済財政政策の基本となるという。しかし、これまで日本銀行は表面的ではあるが「CBDCを発行する計画はない」と見解を示していた。だが、今回のCBDCの検討を公式に掲げることになれば、日本国内外に日本銀行のCBDCの具体的な検討に乗り出すと表明することになる。

またCBDCを発行するかどうかの決定は日本銀行ではなく、日本政府が判断するようだ。実際に日本政府・税務省が管轄する日本銀行が「銀行券(紙幣)を発行する」と定められており、「日本銀行券の種類は(財務省が)政令で定める」と記されている。そのため、紙幣を製造や消却、それらに関する手続きの決定・変更も財務省が承認することになっている。

CBDCは、中国のデジタル人民元の構想をきっかけに世界中で急激に計画が加速している。実際に中国人民銀行(PoB)は中国の4大国有銀行、および決済大手のアントフィナンシャル(Ant Financial)、テンセント(Tencent)の協力を得て、デジタル人民元を開発している。

また先日、イングランド銀行(BoE / The Bank of England)のアンドリュー・ベイリー(Andrew Bailey) 総裁が、BoEのデジタル通貨を作成するかどうかの問題を見ており、「支払いと社会の性質に大きな影響を与えるので、我々はそれを見ていくつもりだ。数年以内に私たちは、ある種のデジタル通貨に向かっているだろう。中央銀行が公共と民間のどちらがデジタル通貨を提供するのが最善であるかを考えるのは正しい」と述べ、開発・発行に向け着実に歩みを進めている。

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