米国予算教書を開示|仮想通貨取り締まりに対する人員を強化
トランプ政権の下で実行される2021年度(2020年10月~2021年9月)の米国の予算教書が発表された。米国大統領の警備を行う機関として、有名なシークレットサービスを、財務省の管轄下に戻すことで、財務省による仮想通貨監視を拡大しようとしていると思われる。
シークレットサービスの主な業務は大統領とその家族の護衛であるが、中には詐欺や通貨の偽造など、金融にまつわる犯罪の調査も含まれており、近年のLibraを始めとするグローバルコインの台頭により米国の金融規制機関の強化は急速に強まっている。その他の国では仮想通貨に対しての位置づけを決めかねており、国家主導のデジタル通貨の政策などを考慮して議論している最中であるが、米国の規制強化は欧州と比較してもスピーディーで適格な判断だろう。
また、昨年度には米国会下院がブロックチェーンを含むテクノロジーを研究し、金融犯罪を未然に防ぐために活用することを提案した法案を可決したことにより、米国財務省所属部門であるFinCEN(金融犯罪捜査網)がブロックチェーン技術を活用し、マネーロンダリング対策に取り組むことで、不正な仮想通貨取引の規制を強化する見込みだ。法案の趣旨は以下の通りである。
「先進的技術」には、人工知能、デジタル認証技術と並んで、ブロックチェーン技術も挙げられている。
FinCENが行う、資金洗浄に関する捜査をさらに効率的で効果の高いものにすることが目的で、金融犯罪についてのデータ分析を収集し情報を連邦、州、地方など様々なレベルで共有し捜査に役立てることを目指す。
今回の人員増員がスムーズに行うことが出来れば、2023年度から2025年度までに、追加で約450件の犯罪捜査を完了することが可能になるようで、下記に挙げた通り各省庁が出している要求事項が提示されている。
- OFAC(対外資産管理局):「仮想通貨調査員」を雇うために4人の正社員と追加の81万2000ドル(約8900万円)を要求。
- FinCEN:「仮想通貨とサイバー脅威緩和プログラムの構築」のために、81万9000ドル(約8900万円)と3人の常勤従業員を募集している。
- CFTC(商品先物取引委員会):仮想通貨関連の取り組みを行うため、リスク・清算部門と執行部門が増額を要求。
これまで米国では仮想通貨を取り締まる明確な法案が存在してこなかっただけに、今回の法規制によりクリーンな仮想通貨の取引やブロックチェーンのユースケースが普及すれば、米国内でのデジタル資産の確立に繋がるのではないだろうか。