FTXが債権者16億ドル返済の裏で詐欺警告、巧妙化するフィッシング被害

FTXが発したフィッシング詐欺警告を象徴するデジタル防壁のイメージ

返済プロセスに便乗した詐欺が発生 FTXが警告

破産手続きを進める仮想通貨取引所FTXは、債権者への第3回分配として約16億ドル(約2,407.5億円)を支払う中、ユーザーを狙ったフィッシング詐欺の発生を警告した。

詐欺メールには、公式の請求ポータル(claims.ftx.com)を模倣した偽サイトへのリンクが含まれており、ウォレットの接続や個人情報の入力を求める内容が報告されている。

FTXの公式アカウントは、正当な配布通知を模倣した偽の通信の例を投稿し、注意喚起。

投稿では、詐欺師が「Kroll」や「FTX Recovery Trust」を装い、ユーザーを偽サイトへ誘導する複数の事例を示している。また、FTXは「ウォレットの接続を求めることは決してない」と強調し、こうした要求があった場合は詐欺である可能性が高いと明言した。

確認された偽メールは「Kroll Settlement Advisory」や「Digital Disbursements」を名乗り、「FTXの配布状況更新」や「第2回FTX配布の資格確認」といった件名を使用している。メッセージ内では、請求額に対して118~142%の回収が可能とする虚偽の記載があり、受信者を不正なポータルへ誘導していた。

一部のメールでは「2025年9月30日の第2回配布」「2025年7月30日時点の市場価格で評価されたデジタル資産による支払い」などの偽情報が含まれ、正規の通知を装う手口が確認されている。FTXとKrollは、すべての通信は検証済みドメインからのみ行われ、アクセスは公式ポータル経由で行うよう改めて注意喚起した。

破産処理の進展と今後の見通し

FTXは9月30日に第3回目の支払いを実施し、本人確認と納税申告を完了した債権者に対して、BitGoKrakenPayoneerのいずれかを通じて資金を分配した。

今回の支払いでは、FTX.com利用者が総回収率78%、米国顧客95%、無担保債権者85%とするなど、複数カテゴリーで返済が進展している。

過去のラウンドでは、2月に約12億ドル(約1,805.8億円)、5月に50億ドル(約7,524億円)超が支払われており、FTXの再建計画は2024年10月に裁判所の承認を得てから順調に進行している。今回の警告は、返済の加速に伴い詐欺被害の増加が懸念される中で発せられたものであり、FTXは引き続き安全な配布を継続すると強調している。

最終的に同社は165億ドル(約2.48兆円)の債権返還を目指しており、これまでに累計78億ドル(約1.17兆円)以上を分配済みだ。FTXはユーザーに対し、疑わしいメールやドメインを開かず、公式サポートを通じてのみ確認を行うよう改めて警告している。

 

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2022年1月から仮想通貨を触り始め、みるみるうちにNFTにのめり込んでいった。 現在はWeb3とECの二刀流で生計を立てている 得意なのは喋る事、好きな食べ物はカレー、好きなゲームは格闘ゲーム