米Cordaが貿易金融マルコポーロの大規模実証実験を成功
エンタープライズ向けのブロックチェーン開発企業R3が、同社のブロックチェーンプラットフォーム上で大規模な金融試験を完了したことを報告した。今回の実証実験に参加した企業と国は25ヵ国70社を超える企業が参加しており、オランダの大手銀行ABN AMRO、メキシコの銀行および金融サービス会社Banorte、Citizens Bank、Commerzbank AG、SBIホールディングス、東アジア銀行、サウジブリティッシュバンクなどが挙げられ、銀行以外の事業会社では、SBI R3 Japan、ドイツの大手自動車メーカーBMW、国際イスラム貿易金融公社、日本の総合商社住友商事、ドイツの銀行LandesbankBaden-Württembergの子会社である金融サービス機関SüdFactoringなどが参加したようだ。
Cordaとは、金融機関におけるトランザクションに特化したプラットフォームであり、従来のパブリックチェーンやコンソーシアムチェーンでは、解決できなかったプライバシーの問題や、二重支払いの問題を独自のリソースをもって解決した機密性の高いDLT(分散台帳技術)である。
Corda特徴
- プライバシー性の確保
- 半順序性の記録方式(ブロックを一列に記録しない)
- Notaryノード(第三者ノード)を立てることで二重支払いの抑制を行う
これらの特徴を踏まえて、Cordaを活用するメリットはこれまで企業間取引で発生していた、売買契約やインボイス、信用状、船荷証券、為替手形、当局への申告書などの膨大な紙の契約書面を大幅にカットすることによる、業務効率の改善や、サプライチェーン上の取引時に発生する売掛金の回収問題など複数存在する金融リスクを回避し、自由な貿易事業の展開を可能にするところだろう。
SBI R3 Japan ビジネス開発部長の山田宗俊氏は今回の実証実験の成功に関して以下のように発言している。
Cordaが実現するP2Pな貿易金融取引は、金融機関と事業会社の伝統的な「関係」を変えてしまう可能性を秘めています。今後、事業会社による貿易取引が増加する中で、金融機関はより厳しい競争環境に置かれることになります。Marco Poloトライアルの成果により、金融機関は今「真に顧客本位なサービス提供とは何か?」を問われています。
今後、Cordaを活用した取り組みが組織や国境の枠組みを超えて、多くの事業に展開されていくことを想定されているようで、日本の企業もコンソーシアムに参加しているケースが既に存在している。
これらの活動が、国内の貿易事業や産業全体を活性化していくことにも期待していきたい。