ベネズエラのマドゥロ大統領が公務員や退職者に仮想通貨ペトロ配布
ベネズエラのマドゥロ大統領が、同国の退職者や年金受給者、軍人を対象に、クリスマスボーナスとして同国政府発行の仮想通貨ペトロを配布する。ペトロ普及に向けた取り組みの一環で、今週にも半分を0.5ペドロ(日本円で約3300円)をエアドロップ(寄与)する。12月13日の演説に発表した。
退職者450万人と公務員など350万人の計800万人が対象。ペドロを寄与する計画は、11月にも明らかにしていた。
ボーナスは総額で1人当たり60ドル(日本円で6600円相当)で、うち30ドル(3300円相当)が今週ペドロで支払われる。寄与するペドロは総額で2億4000万ドル(263億円)になるとされる。ベネズエラの1ヶ月当たりの最低賃金が、10ドル未満(約1100円)であることを考慮すると、今回のエアドロップは国民にとって強力な動機付けになるとされる。
エアドロップを受けるには、まず5月にローンチした政府公式の仮想通貨ウォレット「ペトロアップ」にサインアップする必要がある。石油に裏付けられたペドロをサポートする唯一のプラットフォームであるペドロアップは、ユーザーが電話からモノやサービスを購入したり、送金できるよう設計されている。
ペドロアップはまた、他の仮想通貨との交換にも利用可能。エアドロップされたペドロを、現在サポートされているビットコインやライトコイン、ダッシュなどに交換できる。
今回の演説で、マドゥロ大統領は「経済と社会保護の新たなステージ」を開始すると説明。2年近くペドロ構築に時間を掛けているとし、裏付けるペドロは50億バレル相当だという。専用の石油も準備しており、「すでに3000万バレルは確保済み」と述べている。
ただ、3000万バレルは即時に営利化が可能としてペドロの安全性を主張していたものの、具体的にどのようにペドロを運用していくのかは明らかにしていない。その上、当初の計画では「50億バレル」もの石油を担保していたことから、ペトロの信頼性は失われたままだ。